2023 Fiscal Year Research-status Report
ケカビ寄生菌類を利用した効率的ムコール症治療薬候補の探索
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23K06196
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
野中 健一 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (60421369)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ケカビ / 寄生菌類 / 抗真菌活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界で猛威を奮っている。ドラッグリポジショニングにより見出された安価なステロイド薬がインド、ブラジルなどでCOVID-19の治療に多用された結果、免疫の低下で真菌感染症の1つであるムコール症を発症するという二次感染が多発している。また、ムコール症治療薬はアムホテリシンB程度しかなく、重症化した患者には大量投与が必要であり、腎毒性等の副作用も強いため、新たな薬剤の開発が求められている。そこで、新たなムコール症治療薬候補を効率よく発見するために、原因菌であるケカビ類に寄生性を示す菌類からの抗真菌活性物質の探索が有効であると考案した。 本研究では、ケカビ寄生菌類の効率的な分離法の開発を行い、多数の菌株を収集し、ケカビ類のみが保有するキチン脱アセチル化酵素に作用する化合物を見出すことで、効率的かつ安全性の高いムコール症治療薬候補の発見を目指す。 ケカビ寄生菌自体の発見例は非常に限られているため、今年度は他の真核生物に寄生する菌類、土壌糸状菌類など幅広い分類群の収集を行なった。菌類の採集は、伊豆諸島、五島、熊本県、長野県、神奈川県の5箇所で行うとともに、共同研究先より沖縄県の土壌などを入手した。これらの採集サンプルから菌類を319株分離し、200株について培養液サンプルを調製した後、Aspergillus、Rhizopusを対象に抗真菌活性試験を行なった。まず簡便な判定基準としてAspergillusに抗菌活性を示さず、Rhizopusにのみ選択的に抗菌活性を示すサンプルの探索を行なったところ3サンプルが該当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケカビ寄生菌類の絶対数が少ないため、回避策である他の真核生物への寄生菌類の収集などが十分な数を収集することに成功しており、この中から選択的にケカビ類であるRhizopusに活性を示すサンプルを見出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究協力者とケカビの発生源となる動物の死骸や排泄物からケカビ寄生菌類の探索および寄生性の確認試験などを実施する。また、ケカビの細胞壁成分の一つであるキトサンを利用した固形培地の開発を検討することで、ケカビ寄生菌類の発見効率化を目指す。
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Causes of Carryover |
分離株のDNA解析に若干遅れが生じているため、次年度のDNA解析外注費として使用することを計画している。
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