2023 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the place of origin for oriental bezoar by genetic analysis
Project/Area Number |
23K06198
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中西 宏明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90392274)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 生薬 / 牛黄 / 産地識別 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、牛黄サンプルの収集と、DNA抽出、抽出DNAを用いてのミトコンドリアDNA解析およびマイクロアレイによるSNP解析を実施した。 牛黄は、近年流通量が少なく、価格も高騰しているため、数多く収集できなかったが、42個体(オーストラリア産25個体、ブラジル産12個体、アルゼンチン産5個体)を収集できた。 DNAは42個体すべてから抽出できたものの、収量が50ng以下(濃度1ng/μL以下; 50μLで溶出)の個体も多くあり、収量のバラツキが大きかった。また、電気泳動の結果から、全体的にDNAが分解していることが窺えた。 ミトコンドリアDNA解析では、ミトコンドリア全領域とD-loop領域のみの解析を試みたが、DNAが分解傾向であることから、長い領域をPCR増幅するのが困難であった。そのため、全領域の解析は行わず、D-loop領域(約1kbp)のみの解析を行った。その結果、ハプロタイプは3通りにしか分類されず、産地による違いも観察されなかった。 マイクロアレイによるSNP解析は、イルミナ社のBovineSNP50 v3.0を用いて53218個のSNPの型判定を試みた。前述のとおり、DNAが分解傾向にあり、さらに収量も少ないことから、多くのSNPで型判定できず、42個体のうち8割以上に当たる34個体以上で型が判明したSNPは645個にとどまった。現在は、これらのSNPに対して産地間で有意差のあるSNPを抽出することを試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
牛黄は、近年流通量が少なく、価格も高騰しているため、入手に非常に時間がかかったことから、研究の開始が大幅に遅れた。 牛黄から抽出されたDNAが劣化していたことから、ミトコンドリアDNA全領域の解析を省略し、D-loop領域の解析に絞ったため、全体の進捗状況としては、やや遅れている程度にとどまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイにより解析できたSNP(645個)について、産地識別に有用なSNPの選択を行い、選択したSNPを用いてソフトウェアにより、どのくらいの精度(尤度比)で産地識別できるかを検討する。 また、残ったDNAを用い、MIG-Seq解析による分類も試みる。
|
Causes of Carryover |
近年の牛黄の流通不足により、当初予定していた牛黄サンプル数を集められなかった(購入できなかった)ため、サンプル購入予定額を下回った。 また、サンプル調達に時間を要したことから、研究の進捗自体も遅れているため、試薬等の購入量が予定より少なくなった。 次年度分の予算と合わせて、遅れている分の作業を進めていく予定である。
|