2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel prevention for cancer chemotherapy-induced peripheral neuropathy using multi-layered approach
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23K06210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 真弘 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池村 健治 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (70513935)
新谷 拓也 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤主任 (40762076)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オキサリプラチン / 末梢神経障害 / プロトンポンプ阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法に伴う末梢神経障害(CIPN)は高頻度で発現し、身体的苦痛から患者のQOLを著しく低下させ、治療の変更や中止を余儀なくさせることから、臨床上大きな問題となっている。しかしながら、CIPNの有効な予防法は未だ不十分な状況にあり、有効かつ安全な予防法の確立は喫緊の課題である。本研究では、医療ビッグデータ解析、臨床研究、in vivo/in vitroによる基礎実験を融合させた多層的アプローチにより、CIPNに対する新規予防法の基盤構築を行った。まず、2004年4月から2022年12月に有害事象自発報告データベース(JADER)に登録されているオキサリプラチン(L-OHP)が投与された報告を対象に解析したところ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)がL-OHPのCIPNを軽減できる可能性を見出した。この結果を受け、大阪大学医学部附属病院において、大腸がんに対してXELOX療法が施行された成人患者217例を対象とした後方視的研究を実施したところ、PPIの併用はCIPNの重症化予防に大きく寄与する独立した因子であることが示された(オッズ比:0.054, p<0.001)。次に、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を用いて、L-OHPの細胞毒性に対するPPIの保護効果について検証したところ、L-OHPの曝露による細胞毒性および細胞内活性酸素産生が、PPI(50μM)で有意に回復することが示唆された。しかしながら、検討したPPIの用量は、臨床用量よりもはるかに高く、PPIのCIPNに対する予防効果の機序については更なる検討が必要であると考えられた。現在は、L-OHP誘発性CIPNモデルマウスを用いた、CIPNに対するPPIの保護効果に関する検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
in vitro及びin vivoによる基礎実験は予定通り進行し、令和7年度に予定していた後方視的研究を先行実施することができたため、当初の予定通り進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
C57BL/6J系雄性マウスを用い、L-OHP(10mg/kg)と臨床濃度のPPIを週1回6週間にわたって腹腔内投与し、L-OHP投与1週間ごとに、von Freyフィラメントテスト及びアセトンテストにより、末梢神経障害に及ぼすPPIの保護効果を検証する。また、麻酔下にて眼窩静脈叢から血液を採取後、後根神経節と坐骨神経を顕微鏡下で速やかに採取し、ICP-MSによりPt濃度を測定する。
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