2023 Fiscal Year Research-status Report
乳がんの増殖・転移を抑制可能な新規がん幹細胞標的療法の確立
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23K06211
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丸山 正人 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (00399445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60284080)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / トリプルネガティブ乳がん / CD44 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がん幹細胞を標的とした治療法は、がんの再発や転移の抑制を可能とする有効な治療法として期待されているものの、未だ実用化には至っていない。その理由の一つとして、がん幹細胞への薬物送達法について十分な検討がなされていないため、がん幹細胞に送達される薬物量が不十分であることが考えられる。本申請課題では、我々が独自に樹立したがん幹細胞のモデル細胞を用いて、がん幹細胞標的療法の確立を目指している。我々は、これまでに、悪性度の高いことが知られているトリプルネガティブ乳がんのモデル細胞としてマウス4T1細胞を選択し、高い腫瘍形成能などのがん幹細胞様の機能を有する細胞株(6A10及び 6A12細胞)を樹立している。 本年度は、まず、これらの細胞株の特性について詳細に調べるため、がん幹細胞マーカー(ALDH及びCD44変異体)のタンパクレベルの発現を解析した。その結果、4T1細胞と比べてALDHの発現は認められなかったものの、CD44変異体が高発現していることを明らかにした。 また、がん幹細胞に有効な新規治療薬を探索することを目的に、がん幹細胞で亢進することが知られている複数のシグナル伝達経路の阻害薬を用いて、6A10細胞及び4T1細胞に対する殺細胞効果を検討した。EGF受容体チロシンキナーゼを阻害するゲフィティニブやWnt シグナル阻害薬を処理したところ、6A10細胞と4T1細胞との間で大きな違いはみとめられなかった。一方で、STAT3阻害薬やmTOR阻害薬は、4T1細胞よりも6A10細胞において殺細胞効果が高い傾向が見られた。以上より、がん幹細胞様細胞(6A10細胞)では、STAT3やmTORのシグナルが亢進していると考えられ、これらのシグナル阻害薬が、がん幹細胞に対して有効な候補薬物となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、4T1がん幹細胞株に有効な治療薬の探索を行い、4T1細胞と比べてがん幹細胞において、高い殺細胞効果が見られるシグナル阻害薬を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
STAT3阻害薬やmTOR阻害薬が、4T1細胞よりも6A10細胞において高い殺細胞効果を示す傾向が見られたが、今後は、IC50値を算出するなどより定量的な評価を行う。また、6A10細胞において、STAT3シグナルやmTORシグナル経路が活性化していることを調べるため、ウエスタンブロット法を用いた検討を行う。 また、がん幹細胞に有効な阻害薬について、見出した薬物以外に、候補薬物の数を増やして検討する予定である。 また、当初の計画通り、4T1がん幹細胞の肺がん転移モデルを作製し、4T1細胞と比べて転移能に差が見られるかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究室で保有している試薬や機器を使用することで、おおむね予定していた実験を実施することができたため、次年度使用額が生じた。次年度は、さらに候補薬物の数を増やし、がん幹細胞に対して殺細胞効果を有する有効な治療薬を見出す計画である。さらに、従来の予定通り、樹立したがん幹細胞の転移能についても検討を進める予定である。
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