2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫抑制薬の個別化薬物動態マネジメントを実現する新規バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
23K06236
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉川 直樹 宮崎大学, 医学部, 薬剤部長補佐 (60866383)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 免疫抑制薬 / タクロリムス / FKBP / バイオマーカー / Tリンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タクロリムスの赤血球分布におけるFK506結合タンパク(FKBP)の存在意義を明らかにし、循環血液中でのタクロリムスの赤血球移行性におけるFKBPの寄与を解明する。そこから、FKBPによるタクロリムスの体内動態制御機構を証明する。さらに、FKBPのバイオマーカーとしての開発を行うことで、革新的な個別化医療の確立を目指す。 これまでの研究経過から、細胞外FKBPがタクロリムスの赤血球移行性を制御し、タクロリムスの体内動態を司っていると考えられる。そこでまず、タクロリムスの薬理作用発現部位であるTリンパ球においても、細胞外FKBPによってタクロリムスの血球移行性が制御され得るかどうかをin vitroで解析した。赤血球も存在する全血に対しタクロリムスを曝露させ、フィトヘマグルチニン-L(PHA-L)でTリンパ球を刺激すると、タクロリムスは濃度依存的にサイトカイン(IFN-γ、IL-2)産生を抑制した。この環境において、全血中のFKBP12レベルを調整すると、FKBP12は濃度依存的にサイトカイン産生を増大させた。つまり、FKBP12の存在は全血中におけるタクロリムスのTリンパ球抑制作用を減弱させたと言える。よって、細胞外でのFKBP12との結合は、タクロリムスのTリンパ球移行性を低下させていると考えられる。 以上の通り、FKBPによるタクロリムスの体内動態制御機構の証明に繋がる重要な知見が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タクロリムスの血液細胞移行において細胞外FKBPが重要な役割を果たすことを明らかにし、FKBPによるタクロリムスの体内動態制御機構証明のために重要な知見が得られている。実施計画における本年度の目的は、概ね予定通りに達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づいて、タクロリムスの血球分布におけるFKBPの役割の解明、ならびに血漿FKBPレベルの変動が及ぼすタクロリムスの体内動態個人差への影響の解析を順次進める予定である。
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[Journal Article] Different solubilizing ability of cyclodextrin derivatives for cholesterol in Niemann?Pick disease type C treatment2023
Author(s)
Yamada Y, Fukaura-Nishizawa M, Nishiyama A, Ishii A, Kawata T, Shirakawa A, Tanaka M, Kondo Y, Takeo T, Nakagata N, Miwa T, Takeda H, Orita Y, Motoyama K, Higashi T, Arima H, Seki T, Kurauchi Y, Katsuki H, Higaki K, Minami K, Yoshikawa N, Ikeda R, Matsuo M, Irie T, Ishitsuka Y
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Journal Title
Clinical and Translational Medicine
Volume: 13
Pages: e1350
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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