2023 Fiscal Year Research-status Report
急性腎障害によるせん妄発症機構の解明~神経分化関連因子NPAS4を鍵として
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23K06238
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
日比 陽子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70295616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 祐志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (90637563)
堀田 康弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (80627539)
片岡 智哉 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (20737928)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腎障害 / せん妄 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
「せん妄」は急激に認知機能障害や興奮・妄想・幻覚などの統合失調症様症状が現れ、患者自身やその家族が苦痛を感じるうえ、徘徊・暴力・点滴自己抜去など治療の妨げともなる。またせん妄状態が継続することによって認知症の著しい進行や全身状態の悪化による予後不良がもたらされ臨床現場で大きな問題となっている。近年急性腎障害(acute kidney injury : AKI)が術後せん妄の独立した危険因子であるとの臨床研究報告が相次いでいる。腎臓と脳は関係が深く、AKIは全身性ストレス誘発や脳内炎症の誘発によって海馬や大脳皮質神経を傷害するとされるがその分子機構は不明である。申請者が研究を進めてきた神経分化関連因子Neuronal PAS domain 4 (NPAS4)は、脳の恒常性維持に働く重要な因子でありストレスで発現低下することが示されている。このことから、NPAS4の機能破綻はせん妄の発症に深くかかわると考えられる。そこで本研究ではAKIとせん妄の関係を神経傷害とNPAS4を鍵として解明し、腎-脳連関に基づいたせん妄発症を抑制する方法の開発を目指す。本年度は、細胞や動物を使用し虚血や抗がん剤投与による腎障害モデルの病態解析を行った。また、精神的ストレス負荷など神経系の障害が下部尿路障害の増悪に関連することが示唆されているため、学会で情報収集をおこなった。臨床データの解析としては、がん患者におけるせん妄発症の背景や、使用薬剤がせん妄発症に及ぼす影響について予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床データ解析の遅れ。
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Strategy for Future Research Activity |
腎障害性薬剤を使用した患者において、急性腎障害発症とせん妄発現の関連を調査する。腎障害モデル動物において、グルココルチコイド血中量や脳内Npas4の発現レベルを生化学的および組織学的解析を行う。また、培養細胞系やモデル動物を用いて、Npas4の発現上昇を誘導する化合物の薬効を確認する。
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Causes of Carryover |
既存の備品や消耗品等を用いたたため、未使用額が生じた。次年度はこれらの未使用額を用いて研究を推進させる。
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