2023 Fiscal Year Research-status Report
粘膜ワクチン応用に向けた粉末製剤化mRNA封入脂質ナノ粒子の開発
Project/Area Number |
23K06239
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
尾関 哲也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (60277259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 昂輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (00911132)
田上 辰秋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (10609887) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | mRNA / 脂質ナノ粒子 / 粉末吸入剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNA封入脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)では筋肉内投与、静脈内投与などの全身性の投与経路が一般的である。経肺や経鼻投与は粘膜免疫を効率的に誘導するためmRNAの新たな投与経路として注目されている。これまでに液体製剤による経肺・経鼻投与は報告が多数あるものの、粉末製剤を用いた報告例は少ない。 本研究では、mRNA-LNPを粘膜投与するための粉末吸入製剤の開発を行った。熱を用いない粉末化法であるスプレーフリーズドライ(SFD)を用いてmRNA-LNPの吸入粉末製剤化を試みた。しかし、凍結乾燥時のストレスによりLNPからのmRNAの漏出と機能低下がみられた。そこで、mRNA-LNPの構造を保ったまま、吸入剤に適した粉末製剤にするための添加剤の探索を行った。その結果、添加剤として、pH調整剤(クエン酸)を用いてSFDの際の溶液を酸性にすることで、mRNA-LNPの構造を保持したまま粉末化することに成功した。調製した製剤は、in vitroにおいて高いmRNAトランスフェクション効率を発揮し、室温保存においても2か月以上安定に保存可能であることが確認された。さらにその粉体物性は吸入剤に適しており、従来の凍結保護剤を用いた乾燥製剤よりも優れた粉体物性を示した。 現在、経肺・経鼻投与した際の粉末化mRNA-LNPの機能性を評価している。最終的には治療遺伝子を搭載した際の製剤のワクチン効果、疾患治療効果を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最も重要な部分である、mRNA-LNPを粉末製剤化する技術を構築できたため。改良点はまだあるものの、in vivo実験に進める品質の製剤を作製できた。
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Strategy for Future Research Activity |
調製した製剤を用いてin vivo実験を行い、鼻・肺におけるmRNAトランスフェクション効率、粘膜免疫の誘導特性などを評価する。
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