2023 Fiscal Year Research-status Report
骨微小環境に着目したトリプルネガティブ乳癌の骨転移機序の解明及び治療法の開発
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23K06246
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
武田 朋也 近畿大学, 薬学部, 講師 (20734031)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / 骨微小環境 / 骨転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳癌 (TNBC)は、早期に肺や骨などの遠隔転移を認める予後不良な悪性腫瘍である。骨転移はTNBC患者の約70%で認め、患者のQOL低下や予後不良を引き起こす要因となっている。 骨転移の成立には、がん細胞とそれを取り巻く骨微小環境との相互作用が重要である。骨微小環境中には、骨髄間質細胞や骨芽細胞などから分泌される増殖因子やサイトカインが豊富に存在しており、これら因子ががん細胞の骨への遊走、定着及び増殖に関与することが示されている。しかし、骨微小環境中には多種多様な因子が存在し、どの因子がTNBCの骨転移に関与しているかは解明されていない。そのため、TNBCと骨微小環境との相互作用に関与する分子機構を解明することが、骨転移に対する治療法を開発する上で重要である。 本研究課題では、骨微小環境と相互作用するTNBCの受容体を明らかにし、骨転移に対する治療標的分子を見出すことである。申請者はこれまでに、TNBC骨高転移株を樹立し、RNA-seqによりケモカイン受容体CCR8を含む数種の受容体の発現増加を認めた。さらに、CCR8を阻害することで、骨微小環境中の細胞と共培養したTNBC骨高転移株の遊走能が抑制されることを明らかにした。さらに、CCR8を阻害することで、TNBCの骨転移が抑制されるかin vivoにより検討したところ、骨転移の抑制を認めた。今後は骨微小環境中に産生されている因子を探索するとともに、CCR8と骨微小環境との相互作用における分子機構を解明する。また、その他に発現増加を認めた受容体についても解析を進めて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨微小環境と相互作用する受容体の同定が計画通りに進んでいることから、おおむね順調に伸展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
骨微小環境と相互作用する受容体のリガンドが骨微小環境中のどの細胞から産生されているか確認する。また、その受容体の機能についても解析する。
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Causes of Carryover |
学内行事のブッキングにより、予定していた学会に参加できなかっために余剰が発生した。この余剰は、今年度の学会参加の費用として使用する。
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