2023 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー型認知症と糖尿病の相互連関を断ち切る薬物療法開発の基盤構築
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23K06247
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
力武 良行 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (50419488)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / 糖代謝異常 / 血管老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
APP/PS1アルツハイマー病モデルマウス(ADマウス)と血管内皮特異的細胞老化マウス(血管老化マウス)を交配して、血管内皮特異的細胞老化アルツハイマー病モデルマウス(血管老化ADマウス)を作出し、ADマウスや野生型マウスと糖代謝を比較した。15ヶ月齢では、ブドウ糖負荷試験(ipGTT)において、ADマウスでは野生型マウスと比較して有意な血糖上昇が見られたのに対し、血管老化ADマウスでは野生型マウスと同程度の血糖上昇であった。インスリン負荷試験(ITT)において、ADマウスでは野生型マウスと比較して有意な血糖低下の減弱が見られたのに対し、血管老化ADマウスでは野生型マウスと同程度の血糖低下であった。 ADマウスでは野生型マウスと比較して有意な体重増加が見られたのに対し、血管老化ADマウスでは野生型マウスと体重に差がなかった。摂餌量は、ADマウスと野生型マウスとでは差がなく、血管老化ADマウスでは野生型マウスと比較して有意に多かった。 各マウスから白色脂肪組織(腸間膜、精巣上体、後腹膜の脂肪組織)を摘出し、重量と脂肪滴サイズを測定した。脂肪組織によっては有意差が見られるものもあったが、総じて重量に差はなかった。一方、脂肪滴サイズについては、ADマウスでは野生型マウスと比較して増大傾向が見られたのに対し、血管老化ADマウスでは野生型マウスと差がなかった。 次に3ヶ月齢のマウスを用いて15ヶ月齢と同様の解析を行なった。ipGTTにおいて、ADマウスでは野生型マウスと比較して有意な血糖上昇が見られたのに対し、血管老化ADマウスでは野生型マウスと同程度の血糖上昇であった。ITTにおいては、3群間で差がなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
期間中に予定していた研究計画のうち、糖代謝についての解析は終了し、予定になかった3ヶ月齢マウスにおける糖代謝についても解析できたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス3群間における糖代謝の違いの原因を明らかにするため、インスリン抵抗性に関与する脂肪組織、骨格筋、肝臓におけるインスリンシグナルの異常の有無について解析を進める。また、白色脂肪組織におけるアディポカイン(Adipoq,Lep,Retn,Tnfなど)、脂肪蓄積に関わるperilipin、脂肪酸合成・分解関連分子(Dgat2,Fasnなど)、ミトコンドリア機能調節分子(Ndufb8,Sdhbなど)や、骨格筋、肝臓における糖代謝制御分子について遺伝子発現解析を行う。また、炎症細胞浸潤などの組織学的解析を行う。
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Causes of Carryover |
残額があるものの、直接経費の予算執行率は約98%であり、ほぼ計画通りに執行できたと考えている。残額は次年度の直接経費とあわせて、遺伝子解析や動物飼育などの研究計画の遂行のために使用する。
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