2023 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の早期嗅覚障害への介入が認知機能障害発症に与える影響の基礎研究
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23K06249
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 拓也 福岡大学, 薬学部, 助教 (90509647)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / 嗅覚 / 易刺激性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病では認知機能障害よりも早期に嗅覚障害が現れることから、嗅覚検査がアルツハイマー病の強力な早期診断手段として注目されている。一方、嗅覚障害の特性や病態の全貌は未だ不明であり、認知機能障害との因果関係も明らかではない。さらに、治療法も確立されていない。研究代表者は、本課題の前段階としてアルツハイマー病に類似の病理像と認知機能障害を示す老化促進モデルSAMP8マウスが、特徴的な嗅覚反応低下を示すことを初めて観察した。しかし、アルツハイマー病モデルマウスにおいて、SAMP8マウスのような嗅覚反応低下を示すかは不明である。そこで、家族性アルツハイマー病遺伝子変異を有するマウスでの嗅覚反応を評価した。5つの家族性アルツハイマー病遺伝子変異を有する5xFADマウスは、マウスが本能的に嫌悪するにおいに対して回避反応の低下は認められず、SAMP8マウスのような嗅覚反応低下行動を示さなかった。しかし、嫌悪するにおいに曝露された際に、野生型マウスと比較して装置内での不動時間の延長が認められた。この不動時間の延長は、3-4ヶ月齢では認められず、6-7ヶ月齢で認められたことから、アルツハイマー病の病態進行によるものであると示唆された。また、この不動時間延長は、嫌悪臭に対する恐怖反応もしくは警戒反応の増加であると考えられた。以上のことから、5xFADマウスでは嫌悪を示す嗅覚情報に対して易刺激性であることが示唆された。一方、報酬で条件づけしたにおいと無報酬で条件づけしたにおいを用いた嗅覚識別試験では、野生型マウスは報酬で条件づけしたにおいに接触する時間が、無報酬で条件づけしたにおいに接触する時間よりも有意に延長したが、5xFADマウスは両においへの接触する時間に差は認められなかった。このことから、5xFADマウスは嗅覚識別能力または嗅覚に依存する記憶に障害があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家族性アルツハイマー病モデルマウスの一系統については評価できた点は、計画通りである。しかし、SAMP8マウスの嗅覚神経経路の評価が進んでいない点でやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマー病の原因蛋白とされるアミロイドβを過剰発現する5xFADマウスの評価をこれまで行ったが、タウ蛋白に関する検討は未着手である。そこで、タウ蛋白変異遺伝子を有するアルツハイマー病モデルマウスの嗅覚反応を解析する。また、逆行性神経トレーサーを用いたSAMP8マウスの嗅覚神経経路の解析も未着手であるため、今後の検討にする。
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