2023 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of interindividual variability in pharmacokinetics of and clinical responses to orexin receptor antagonists in cancer status
Project/Area Number |
23K06254
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内藤 隆文 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 教授 (80422749)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 海斗 信州大学, 医学部附属病院, 薬剤主任 (00857055)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | オレキシン受容体拮抗薬 / がん悪液質 / 炎症性サイトカイン / 薬物代謝酵素 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん患者を対象にオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント及びレンボレキサントの体内動態及び臨床効果の個人差について、がんの進行に伴うがん性炎症を含む生理学的変化に着目し、悪液質の進行度や炎症性サイトカインの血中濃度を指標にCYP3Aのフェノコンバージョンを含めて解析を行う。以下、2023年度における研究の実施状況及び研究成果を記載する。 臨床試験については、信州大学医学部の臨床研究倫理委員会の承認を受けた。スボレキサントまたはレンボレキサント投与7日目以降の定常状態において、投与後12時間目に採血を行った。現在、目標とする患者数の集積に向けて、患者登録、情報及び検体の収集を実施している。2024年3月末の時点で、スボレキサント15名及びレンボレキサント45名の患者から同意を得られ、検体を回収している。 スボレキサント及びレンボレキサントの血中濃度については、血漿試料の前処理に有機溶剤による除タンパク法を用いた簡便なLC-MS/MS法による同時定量法を確立した。この方法では、ヒトでの投与量において十分に定量可能な検量線範囲を設定した。本測定法に関しては、米国FDAの生体試料分析のガイダンスに沿ってバリデーションを実施している。 評価項目については、悪液質の進行度を炎症度分類や症状分類を用いて評価可能なことの検証を行ったものの、スボレキサント及びレンボレキサントの投与患者の多くは、体重減少や体格指数などで悪液質の兆候が認められない患者が多く、血中サイトカインを用いた評価の必要性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床試験の倫理審査申請を行い、患者登録、患者情報及び検体の収集を開始した。加えて、スボレキサントとレンボレキサントの血中濃度測定法も確立し、おおむね順調に研究が進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度に開始した臨床試験の患者登録とともに、スボレキサント及びレンボレキサントの薬物動態解析、悪液質の進行度の評価及び患者情報の収集を継続する。さらに薬物代謝酵素の遺伝子型や炎症性サイトカインの評価とともに、薬物代謝酵素の活性を反映する内因性マーカーの定量及びミクロソームを用いた代謝実験を開始する。
|
Causes of Carryover |
理由: スボレキサント及びレンボレキサントの標準試薬に関しては、他財源より購入したため、研究開始のための消耗品の購入費用が予想していたよりも安価であった。血漿中濃度測定の前処理として、固相抽出を用いなかったため、それに関連する消耗品の購入費用が少なく済んだ。 次年度の研究費の使用計画: 2024年度の研究費については、前年度から開始した薬物動態の評価に必要な消耗品にかかる費用とともに、、炎症性サイトカインの評価、薬物代謝酵素の遺伝子解析や薬物代謝酵素の活性を反映する内因性マーカーの定量に関連した消耗品、情報収集のための学会参加、学内共同機器の使用料に研究費を使用する。
|