2023 Fiscal Year Research-status Report
In vitro blood-brain barrier model for drug development
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23K06273
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
川端 健二 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 創薬資源研究支援センター, プロジェクトリーダー (50356234)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 血液脳関門 / トランスポーター / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、ヒト iPS 細胞から分化誘導した脳血管内皮細胞を成熟化させることで生体に近い in vitro 血液脳関門(BBB)モデルを構築することを目的としている。これまでの BBB モデルは、非常に高いバリアー能(膜間抵抗値 1,000 Ω 以上)と多くの種類のトランスポーターを発現するため、薬物動態を評価し、病態モデルを作製するのに適した in vitro モデルであることが報告されてきた。しかしながら、分化させた脳血管内皮細胞は P-糖タンパク質(P-gp)の発現が低い点や上皮マーカーが発現している点等、一部未成熟であることが新たに判明した。このような未成熟という特徴については、世界的な課題となっており、申請者だけでなく世界のいくつかのグループも同様に報告している。iPS 細胞由来脳血管内皮細胞を成熟させるための候補遺伝子をデータベースから検索し、Zic3A、Zic3B、Sox18 の3 遺伝子をピックアップした。これらの遺伝子を発現させるレンチウイルスを作製し、iPS 細胞あるいは iPS 細胞由来脳血管内皮細胞に過剰発現させることで脳血管内皮細胞を成熟化させることを試みた結果、特に SOX18 遺伝子を導入した場合に P-gp の活性が上昇することを見出した。これは iPS 細胞由来脳血管内皮細胞がより成熟化したことを示しており、遺伝子導入技術によってより生体に近い脳血管内皮細胞を作製することに成功した。今後は、他のトランスポーターの発現や機能も調べていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界的な課題であった「iPS 細胞由来脳血管内皮細胞の成熟化」について、遺伝子導入技術を駆使することによって、P-糖タンパク質の発現および機能の向上に成功したため。これにより、多くの低分子薬物の脳への移行性を網羅的に予測することができ、iPS細胞由来BBBモデルの社会実装に向けて大きく前進したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は主に遺伝子導入技術によって、iPS 細胞由来脳血管内皮細胞を成熟化させることを試み、P-糖タンパク質の発現および機能を向上させることに成功した。今後は他の技術、例えば低分子を用いたiPS 細胞由来脳血管内皮細胞の成熟化に関する課題にも着手し、より簡便に iPS 細胞由来 BBB モデルを作製する技術を開発していきたい。
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