2023 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病発症に係るユビキチンリガーゼ関連分子を制御するmiRNAの治療応用
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23K06278
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 友博 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00439035)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / microRNA / ユビキチンリガーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のパーキンソン病(PD)治療は、抗コリン薬等の他の作用機序に基づく薬物も使用されるが、レボドパによる対症療法が主である。しかし長期レボドパ症候群等の副作用発現リスクがあるため、新たな作用機序に基づく治療薬の開発が期待されている。申請者はこれまでPDとユビキチンリガーゼHRD1、安定化分子SEL1Lとの関連性について研究を行い、HRD1やSEL1LがPDモデルで細胞保護効果を示すこと、さらにmicroRNAの一つmiR-101がSEL1Lの発現を直接制御し、PDモデルにおける神経細胞死に影響を与えることを報告した。今回、miR-101がHRD1に与える影響について検討した。 6-OHDAを用いて作製したPDモデル細胞にmiR-101のmimicを遺伝子導入したところ、6-OHDA刺激によって発現量が上昇したSEL1Lが減少したが、同じく発現量が上昇したHRD1も減少することが明らかとなった。また、PDモデル細胞にmiR-101のinhibitorを遺伝子導入したところ、SEL1Lの発現量だけでなくHRD1の発現量もさらに上昇することが明らかとなった。SEL1LはHRD1の安定化因子として知られており、miR-101によるSEL1Lの発現量の変化に伴いHRD1の発現量も変化することが示唆された。 一方、miR-101を抑制しSEL1Lを活性化する化合物を探索したが、良好な結果が得られなかったため研究アプローチを変更し、まずはSEL1Lを活性化する化合物を探索することとした。in silicoで探索したところ、Luteolinが抽出され、SEL1Lの発現量が増加することが確認された。そしてLuteolinは、PDモデルにおける神経細胞死を抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学院生が増加し(修士課程含む)、本研究に本格的に参画することができるようになったことに加え、いくつかの実験を並行して効率よく行うよう体制を変更し、進捗が認められた研究を優先的に行うようになったため。 研究アプローチを変更したため、一部の実験が遅れているが、現在鋭意進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、PDモデルラットを作製し、血漿中のmiR-101発現量が変化するか検討する。また、HRD1の発現量に変化を与えるmicroRNAを探索する。 また、LuteolinがHRD1に与える影響について検討するとともに、PDモデルラットに対する影響についても検討する。そして、LuteolinがmiR-101に影響を与えるかについても検討する。
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Causes of Carryover |
令和5年度に行う予定の実験の一部を令和6年度に行うことになり、その分が執行されなかったため、残額が生じた。 令和6年度はmiR-101を介して他のnon-coding RNAがSEL1Lに影響を与えるかについて検討するとともに、LuteolinがmiR-101に影響を与えるかについても検討するため、それらに必要なリアルタイムPCR関連試薬や細胞死を評価する試薬などを購入する予定である。
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