2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of microcephaly caused by motor protein dysfunction during brain development
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23K06297
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 貴子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90727851)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 小頭症 / モータータンパク質 / Kif23 / 神経幹細胞 / 細胞分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
小頭症は、脳のサイズ縮小を示す疾患である。胎生期は神経幹細胞と呼ばれる幹細胞から脳の中で働く大量のニューロンが産生される大切な時期であり、小頭症は胎生期における神経幹細胞の増殖・分化機構の破綻によるものであると報告されている。研究代表者は、ヒトで報告のある小頭症で認められた変異遺伝子のなかで、微小管モータータンパク質キネシンファミリーの一員であるのKinesin 23 (Kif23; MKLP1) が、ニューロンを積極的に生み出す発生段階の神経幹細胞に高発現することを見いだした。子宮内電気穿孔法を用いた神経幹細胞特異的なin vivoでのKif23のノックダウン (KD) 実験を行うと、ニューロン分化が亢進し、さらにニューロンでの細胞死が増加した。これらの結果から、Kif23が胎生期の神経幹細胞のニューロン分化に影響を与えると示唆されるが、Kif23がどのような機構で脳発生を制御し小頭症の原因となるのかは未知である。そこでニューロン分化を担うメカニズムを解明するためにKif23のKDを行い、下記の表現型を得た。Kif23 KDにより、1)神経幹細胞の微小管形成が異常になり、非対称性の細胞分裂が増加、2)細胞接着分子の発現減少し、各頂端側突起の面積が増加、3)細胞質分裂阻害による核凝縮および、それに伴う細胞死が認められた。これらの結果から、①神経幹細胞の細胞分裂異常に伴う早期のニューロン分化、②神経幹細胞の不完全な細胞質分裂により、ニューロンの細胞死が起こることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マウス胎仔脳の神経幹細胞におけるKif23の機能を明らかにするために、Kif23得意的なstealth RNAiをマウス胎仔脳室内に注入して、子宮内電気穿孔法を用いて神経幹細胞特異的なin vivoでのKDを行った。当初から計画していた1. 細胞分裂の解析、2. 細胞接着分子の解析、3. 細胞増殖・分化の解析、4. 細胞死の解析に関する表現型解析によって、研究概要に記載した結果を得ることができ、当初の計画以上に研究目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、Kif23は特に細胞分裂終期以降に見られる極微小管由来の紡錘体の束であるmidbody構造に局在しており、細胞質分裂時に娘細胞間橋となるmidbody構造に存在する分子は細胞増殖や分化に重要である。細胞質分裂には様々なmidbody分子 が重要な役割を果たしており、神経幹細胞においてKif23がどのようなmidbody分子を相互作用するかについて、免疫沈降法により同定する。さらに、これらの分子の細胞内局在を調べ、細胞分裂期における分子動態を調べる。
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Research Products
(7 results)