2023 Fiscal Year Research-status Report
下垂体前葉内の細胞間相互作用を基軸とする新規ストレス応答機構
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23K06326
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
藤原 研 神奈川大学, 理学部, 教授 (00382945)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 下垂体前葉 / グルココルチコイド / 細胞間相互作用 / 局所環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「下垂体前葉内での細胞間相互作用が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌調節に働き、ストレス応答機構の新たな基軸となる」という仮説を検証するため、以下の課題を行う。①ストレス応答分子(グルココルチコイド活性化酵素:11βHSD1, ACTH受容体:MC4R)の組織学的解析、②11βHSD1の機能解析、③MC4Rの機能解析、④ストレス時の発現動態、について実行する。本年度は、① ストレス応答分子(11βHSD1, MC4R)の組織学的解析を行った。まず、成獣雄ラットの下垂体前葉におけるグルココルチコイド活性化酵素である11βHSD1と不活性化酵素である11βHSD2の発現レベルを定量的PCR法を用いて解析した。その結果、11βHSD2に比べ11βHSD1の発現量が著しく高いことが分かった。そこで、ラット下垂体前葉における11β HSD1を発現している細胞の組織分布、細胞の種類を同定するために、mRNAに対する一本鎖RNAプローブを作製し、作製したプローブを用いてin situ hybridization法を行った。その結果、11β HSD1発現細胞を同定することに成功した。さらに、各種細胞マーカー分子に対する抗体を用いた免疫組織化学とin situ hybridizationを組み合わせることで、下垂体前葉における11β HSD1発現細胞の細胞種を特定できた。また、ACTH産生細胞との形態学的関係について共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析した。一方、MC4Rについては、プローブ作製までは完了したがin situ hybridization法による発現細胞の検出までは至らなかったため、2024年度に引き続き行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きなトラブルはなく、おおむね計画していた実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はない。
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Causes of Carryover |
In situ hybridizationのプローブ作製の過程で、同時に複数の遺伝子のクローニング及びプローブ作製を行うことで、購入する試薬を減らすことができた。また、汎用性の試薬、物品は研究室で既に保持しているものを流用できたことから、新規購入を減らすことができた。2023年度に使用できなかった予算は、引き続き物品費に使用する計画である。
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