2023 Fiscal Year Research-status Report
The role of Plexin-A3 in the somal translocation of radial glial cells and corpus callosum formation
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23K06328
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
湯川 和典 名城大学, 薬学部, 教授 (20301434)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞体トランスロケーション / 放射状グリア細胞 / アストロサイト / 脳梁 / プレキシンA3 / 灰白層グリア / セマフォリン |
Outline of Annual Research Achievements |
軸索ガイダンス分子セマフォリン(Sema)の受容体であるプレキシンA3を欠損するマウスでは、脳梁軸索が伸長するための道標となる灰白層グリア(IG: indusium griseum)の形成不全と脳梁欠損が発生する。IGは、神経系前駆細胞の放射状グリア細胞(RGC)の細胞体が線維芽細胞増殖因子(FGF)の作用で脳室帯(GW)から皮質表層へと移動し(細胞体トランスロケーション)、アストロサイトに分化することで完成される。この細胞体トランスロケーションに異常があるかどうかを検証するため、RGCをGFPで可視化するBLBP-GFPとコントロールベクターのCAGGS-RFPを調整した。R6年度はRGCの細胞体移動の実態解明のため、子宮内胎仔脳への遺伝子導入実験を完遂する。 胎生17.5日齢プレキシンA3欠損マウスのIG領域でのSOX9陽性細胞及びGFAP陽性細胞の有意な減少に加え、GWでSOX9陽性細胞が減少傾向を示した。そのため、R6年度は、SOX9陽性細胞の増殖能の測定を行う。 RGCでのFGFとプレキシンA3シグナルのクロストーク検証のため、FGFで活性化する細胞内分子を抗リン酸化抗体で検出した結果、胎生16.5日齢プレキシンA3欠損胎仔でリン酸化ERK;SOX9共陽性細胞とリン酸化Elk-1;SOX9共陽性細胞が、GW及びGW→IG領域で野生型よりも有意な減少を示した。FGFシグナルのERKからElk-1の経路がプレキシンA3シグナルの影響を受けることが示唆され、FGFと共にプレキシンA3がRGC細胞体トランスロケーションに関わる可能性が高まった。 BLBP陽性RGCにおけるプレキシンA3 mRNAの発現が判明した。R6年度以降は、RGCでのプレキシンA3の細胞内局在解明のため、細胞体移動中のBLBP陽性RGC内のプレキシンA3の局在を、抗プレキシンA3抗体を用いて解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究実施計画では、放射状グリア(RGC)特異的にGFPを発現するベクターを胎仔マウス脳に遺伝子導入し、RGC細胞体トランスロケーションの解析を行い、令和5年度中に灰白層グリア(IG)形成不全の実態を明らかにする予定であった。米国のNeuroscience 2023で学会発表を行い、帰国後の11月中旬に新型コロナウイルス感染症に罹患し、研究室に完全復帰するまでに約3週間を要した。その間、動物施設で飼育中のマウスの遺伝子型判定ができず、充分数の実験用マウスの確保が困難となり、この遺伝子導入実験の進行に遅れが生じた。そのため、RGC細胞体トランスロケーションにどのような異常があるかについては、未だ十分な結果が得られていない。 DNAヌクレオシドのチミジンアナログを胎仔マウスに投与し、脳室帯(GW)、GWとIGの間、IGの3領域におけるSOX9陽性細胞の増殖能の測定についても、上記と同等の理由により結果が得られていない。 GW→IG方向で発現レベルが変化しプレキシンA3のリガンドとなる可能性があるセマフォリン(Sema)を同定するため、Sema3F mRNAの発現分布について解析することを計画していたが、未だ解析ができていない。 以上の理由で、令和5年度の研究の進捗状況については、やや遅れていると判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進のため、以下の方策を遂行する。 1. プレキシンA3欠損RGCのGW→IG細胞体トランスロケーションを解析するため、RGC特異的にGFPを発現するベクターを遺伝子導入し、GFPで可視化されたRGC細胞体の移動を評価することでIG形成不全の実態を解明する。さらに、プレキシンA3mRNAノックダウン(KD)の効果検証のため、野生型胎仔脳にRGC特異的にGFPを発現するベクターとmCherry含有プレキシンA3mRNAノックダウン用ベクターを遺伝子導入し、GFP;mCherry共陽性RGCの細胞体移動を評価し、時期・部位特異的にプレキシンA3の役割を明らかにする。 2. プレキシンA3欠損RGC及びアストロサイト系細胞が減少しIG形成不全に至る可能性の検証のため、脳室帯(GW)、GWとIGの間、IGの3領域でのSOX9陽性細胞数を測定する。さらにチミジンアナログEdUを胎仔に投与し、3領域におけるSOX9; EdU両陽性細胞数を野生型胎仔と比較し増殖能を評価する。 3. GW→IG RGC細胞体トランスロケーションが起きる時期の正中線領域において、GW→IG方向に発現が変化しプレキシンA3のリガンドとなるセマフォリン(Sema)同定のため、Sema3F、Sema6A等のmRNAの発現分布を、in situ ハイブリダイゼーションで解析する。 4. RGC細胞体におけるプレキシンA3の局在解析のため、GW→IG細胞体トランスロケーション中のRGCにおけるプレキシンA3とpFGFR1の局在について、免疫染色を行い共焦点レーザー顕微鏡により確認する。次に大脳正中線領域のタンパク抽出液中で、プレキシンA3とpFGFR1の複合体形成の有無を明らかにする。以上の結果をもとに、RGC細胞体トランスロケーションによりIG形成と脳梁形成が進む細胞・分子表現型モデルを構築し論文発表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由としては、「現在までの進捗状況」で前述したように、R5年度で実施予定であった1)RGC細胞体トランスロケーションの解析、2)GWからIGに向けて細胞体トランスロケーション中のRGCの増殖能の測定、3)プレキシンA3のリガンドであるSema3Fの発現解析、において十分な解析ができていないため、次年度使用が生じている。この次年度使用分については、以下の使用計画のもとに使用していく。 1)RGC細胞体トランスロケーションの解析ではRGC特異的にGFPを発現するベクターを子宮内胎仔脳に遺伝子導入するが、GFPに対する一次抗体と二次抗体、コントロール用のRFP含有コントロールベクター検出用抗体、蛍光標識二次抗体、腹部の切開部縫合用の縫合打針器及び縫合針等を購入する。2)細胞体トランスロケーション中のRGCの増殖能測定では、チミジンアナログ、チミジンアナログ検出用抗体等の試薬等消耗品を購入する。3)プレキシンA3のリガンドであるSema3Fの発現解析では、RNAscope Sema3Fプローブ、RNAscope FGF8プローブ、抗FGF8抗体、RNAscope2.5HD Reagent Kit等のin situ hybridization用試薬、及び組織用スライドグラス等の消耗品を購入する。
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Research Products
(2 results)