2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanisms of estrogen-sensitive tumor progression by genomic structural rearrangement of the ESR1 gene.
Project/Area Number |
23K06350
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石井 寛高 日本医科大学, 医学部, 大学院教授 (20445810)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エストロゲン / エストロゲン受容体 / エストロゲン感受性腫瘍 / 化学療法抵抗性 / ホルモン感受性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではリガンド依存性転写調節因子であるエストロゲン受容体を対象分子としている。エストロゲン受容体には、2種類の受容体、エストロゲン受容体α(estrogen receptor α, ERα; ESR1)とエストロゲン受容体β(estrogen receptor β, ERβ; ESR2)が存在しており、双方の受容体ともにエストロゲンの結合によって活性化し、標的遺伝子の転写を調節する。 標的タンパク質を特異的に認識する抗体は、医学・生命科学研究で不可欠なツールとなっている。ヒトESR1に対する抗体は非常に信頼性の高い抗体が存在し、乳がんの病理診断に使用されている。しかし、ラット・マウスESR1に対する抗体に関しては、従来定評があった抗体の販売停止により、実験動物を用いたESR1研究に支障が生じている。また、ESR2抗体においては長年の間、特異的抗体が知られておらず、ESR2研究推進の妨げとなっていた。そのため、本研究の遂行において、実験を行う上で支障がないようにするため、ESR1とESR2に対する抗体の特異性・交差反応性の検証と免疫抗体法の最適化を行った。 抗ESR2抗体に関しては、近年、我々が同定したPPZ0506抗体がヒト・マウス・ラットESR2に対して特異性と交差反応性を保持することを報告し、免疫組織化学染色法の最適化により、ESR2発現分布の同定に成功した。さらに、マウス・ラット脳におけるESR2発現の全脳マッピングを行うことで、脳内でESR2が性差を伴う発現を示すことを発見した。抗ESR1抗体に関しても、マウス・ラットESR1に対して特異性と交差反応性を持つ抗体を複数同定し、それらを用いた免疫抗体法の最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年、エストロゲン受容体研究において懸念事項となっていた抗ESR1抗体、抗ESR2抗体の特異性・交差反応性の検証を進めることで、本研究の実験を遂行する上での問題を解決することができた。さらに、免疫抗体法以外の実験の条件検討もこの1年で着々と進めることができた。 抗体の検証過程において、特異的抗ESR2抗体の発見とその抗体を用いた免疫組織化学染色法の最適化により、従来から非特異的抗体の使用で混乱していたESR2の発現分布に対して解決の糸口がつかめた。さらに、マウス・ラットのESR2発現を全脳でマッピングすることで脳におけるESR2の発現分布を同定し、脳内のESR2発現分布に性差があり、生理的な濃度のエストロゲンで発現変動を起こすことを発見することができた。 本研究の実験を行う上での問題解決を通して、副次的ではあるが様々な成果をあげることができ、エストロゲン受容体研究分野で長い間、問題になっていた課題の解決の糸口を得ることができた。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
この1年でエストロゲン受容体研究を進める上での問題を解決するとともに、本研究に必要な実験条件検討が着実に進展した。そのため、本来のC末端欠損型ESR1変異体の機能解析に立ち戻り、本研究の推進を目指す。 また、ESR1とESR2に対する免疫組織化学染色法の最適化を通して、脳内におけるESR1とESR2発現分布の比較とその相互作用の解析を推進できる余地が生まれた。特に脳内でESR1とESR2が協調的に働くかどうかは、長年、エストロゲン受容体研究者が解決を望んでいた課題であった。そのため、今回、この課題の解決の糸口が見えたことにより、今後の研究では脳内におけるESR1とESR2発現局在解析・相互作用解析も同時に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
急激な円安によって、オープンアクセス出版の論文掲載料の見通しが立たず、余裕を持って予算執行を行った結果、次年度使用額が生じた。 次年度使用額として請求した助成金は、翌年度分として請求した助成金と合わせて研究遂行に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(28 results)