2023 Fiscal Year Research-status Report
Role of GATA2-RPN1 intergenic region common variants in eosinophil/basophil regulation
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23K06375
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 未来子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80508309)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GATA2 / 好酸球 / 好塩基球 / マスト細胞 / エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、GATA2遺伝子遠位造血エンハンサー(G2DHE)が、好酸球および好塩基球分化のどの段階において貢献しているのかを明らかにするために、G2DHE欠失マウスの骨髄内において、造血幹細胞から好酸球、好塩基球にいたるまでの各段階の細胞を、フローサイトメトリーによって解析した。G2DHE欠失マウスでは、造血幹細胞から共通骨髄球前駆細胞(CMP)までの細胞は減少していなかったが、好酸球前駆細胞(EoP)、好塩基球・マスト細胞前駆細胞(BMP)以降の分化段階の細胞が著しく減少していた。CMPにおけるGATA2遺伝子発現を解析したところ、G2DHE欠失マウスでは、野生型マウスの約半分に減少していた。これらの結果から、G2DHEはCMPにおけるGATA2遺伝子発現を活性化しており、CMPからEoPまたはBMPへの分化、すなわち好酸球または好塩基球への系列決定に重要であることがわかった。マスト細胞は、好塩基球と共通の前駆細胞BMPから分化するため、BMPが減少しているG2DHE欠失マウスはマスト細胞も減少している可能性が考えられた。そこで、腹腔の細胞を解析したところ、G2DHE欠失マウスでは、マスト細胞が野生型の約20%まで減少しており、G2DHEはマスト細胞分化にも重要であることがわかった。G2DHE欠失マウスでは好酸球、好塩基球、マスト細胞が減少していることから、2型炎症の症状が軽減する可能性が考えられた。そこで、MC903誘導性皮膚炎モデルにおいて検証を進めた。G2DHE欠失マウスでは、野生型マウスと比較してMC903塗布による皮膚の肥厚が軽減されており、G2DHE変異が2型炎症の程度に影響を与えることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、G2DHE欠失マウスを用いて、G2DHEが好酸球や好塩基球分化において、系列決定の段階に重要であることを明らかにできた。そのため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、G2DHE欠失マウスを用いた炎症誘導実験をさらに進める。またヒトで同定されているG2DHE付近のSNPsが2型炎症性疾患と関連するかを検証する。
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Causes of Carryover |
今年度は、G2DHEが細胞分化に与える影響の解析を重点的に行ったため、炎症誘導モデルの解析が完了しなかった。次年度使用額は、引き続き、炎症誘導モデルの解析を行うために使用する。
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Research Products
(1 results)