2023 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫を制御する膜融合タンパクの協働性:新たな膜融合経路による制御機構
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23K06389
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
櫻井 千恵 鳥取大学, 医学部, 助教 (10589724)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メンブレントラフィック / SNAREタンパク / ファゴサイトーシス / ファゴソーム / クラスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
人体は、細菌やウイルスなどの異物から自身を守るための免疫機能を有している。免疫機能の中心的役割を担うマクロファージなどの食細胞は、体内に侵入した異物を貪食し、殺菌・分解して処理する。この一連の反応をファゴサイトーシス、異物の貪食により形成される小胞をファゴソームという。ファゴサイトーシスは細胞小器官との融合、輸送キャリアや小胞の遊離を伴う複雑な過程である。 細胞内での膜融合反応を担うSNAREタンパクであるSNAP23やVAMP5は互いに相互作用し、いずれもファゴサイトーシスに機能する。しかしながら、この過程における両者の協働性はわかっていない。そこで本研究では、ファゴサイトーシス反応が進行する分子機構について、SNAP23とVAMP5の協働性に着目して明らかにすることを目的とした。 これまでの研究の結果、VAMP5はファゴソーム形成時のSNAP23による膜融合に機能することがわかった。局在を観察すると、両分子ともファゴソームに局在するが、VAMP5はSNAP23と比較して速やかにファゴソームから遊離する様子が見られた。またこの遊離は、クラスリン阻害剤により抑制された。以上より、VAMP5とSNAP23は協働してファゴソーム形成に機能し、VAMP5はその後クラスリン依存的にファゴソームから遊離すると考えられた。 本研究によりファゴサイトーシスを制御する分子機構が明らかとなれば、感染症や免疫異常に対する新たな調節機構の理解、それら疾患の治療法・予防法開発の分子基盤が提案できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに行った研究では予想した通りの結果が得られ、当初の計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ファゴサイトーシス過程において各種の阻害剤を用いた場合のVAMP5の局在や、VAMP5とSNAP23を共発現した場合のファゴサイトーシスへの影響などを調べる。
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Causes of Carryover |
研究課題を通しての研究計画に変更はないが、年度ごとに行う予定としていた計画に入れ替えが生じたために次年度使用額が生じた。 次年度は主に、DNA・RNA試薬や細胞培養試薬の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)