2023 Fiscal Year Research-status Report
ALS病因タンパク質FUSのm6A修飾認識タンパク質としての機能解析
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23K06392
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
米田 竜馬 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00734881)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | FUS/TLS / m6A修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ALS病因タンパク質FUSとm6A修飾RNAとの相互作用による機能解析を目的とする。FUSは、変異やストレスにより細胞質で液滴や不溶性の凝集体を形成し、これが神経細胞で起こることが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)発症の一因だと考えられている。申請者は、細胞にストレスを与えることでFUSの液滴形成を再現し、そこに長鎖非コードRNA由来のRNA断片を導入すると液滴形成を阻害できることを見出した。さらに、導入するRNAにm6A修飾を入れると、その阻害効果が高まることを明らかにした。以上から、FUSがm6A修飾認識タンパク質として機能し、m6A修飾 RNAとの結合により、FUSの液滴や凝集体を分散できるのではないかと考えた。FUSを各ドメインに分断してm6A修飾との結合を観察したところ、N末端にあるLCドメインが、FUSのm6A修飾認識に重要であることを見出した。またFUS抗体によるRIPと、m6A抗体によるRIPの結果を比較し、FUSが細胞内でも実際にm6A修飾RNAの多くと相互作用していることを発見した。次年度以降はFUSのLCドメインにおけるm6A修飾認識ドメインをさらに詳細に絞り込み、FUSのm6A修飾タンパク質としての機能を追求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FUSのm6A修飾を認識する領域の絞り込みに成功しているためである。 FUSはN末端側からLC、RGG、RRM、NLSのドメインを持っているが、各領域においてFUSとの結合がRNAのm6A修飾により変化したのがLCドメインであった。その他の領域は20塩基のRNAに関して、RNA修飾の有無に関わらず、結合の強さは変化しなかったが、LCドメインはm6A修飾を入れたRNAで顕著に強い結合を示した。また、FUS抗体とm6A抗体のRIPの結果を比較することで、FUSが細胞内でも実際にm6A修飾RNAのReaderとして機能していることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
FUSのm6A修飾において重要な領域をさらに絞り込んでいく。 FUSのLCドメインは214個のアミノ酸からなるので、その一部を削ったコンストラクトを作成し、m6A修飾RNAとの結合を観察する。数十アミノ酸まで絞れた場合は、crispr/cas9システムを用いて、細胞内のFUSに変異を入れて、m6A修飾RNAとの結合の変化や、ターゲットとなるRNAの候補を探索する。数アミノ酸まで絞り込むことができれば、そこに変異を入れたコンストラクトを作成する。 また、FUSのm6A修飾認識配列の同定にも取り組む。m6A修飾はGGACUという配列のAに入りやすいが、数あるreaderがどのように結合するm6Aを判別しているのかは明らかになっていない。そこで細胞のtotal RNAを断片化し、FUSとm6A抗体によるRIPを行うことで、FUSが相互作用するm6A修飾RNAのモチーフ検索を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた論文投稿が年度内に間に合わなかったため、今年度以降に投稿する際に繰り越した分を使用する。
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