2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of dendritic spine turnover as an endophenotype in ASD
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23K06399
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
玉田 紘太 神戸大学, 医学研究科, 助教 (10550957)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自閉症 / モデルマウス / 樹状突起スパイン / 15q11-q13 / Necdin |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表者らの発見した、自閉症で頻繁に認められる染色体15q11-q13領域の重複の原因遺伝子の1つ、Ndn遺伝子の樹状突起スパイン形成に対する分子メカニズムを明らかにすることで、自閉症の生物学的病態を明らかにするとともに、樹状突起スパインの異常が自閉症に普遍的な異常であるかを明らかとすることを目的とする。 本年度は脳組織から精製度の高い神経細胞核を抽出するための条件検討を行った。FANS法(Amamoto et al., Nucleic Acid Res, 2000)とIodixanol法を比較し、夾雑物の混入レベルや、核の形態的完全性について評価した。また、NDNの樹状突起形成における役割を調べるために、樹状突起スパインの計測システムを立ち上げた。子宮内電気穿孔法及び、Supernova法によりマウス大脳皮質神経細胞に疎になるように過剰発現させ、NDNの核内局在型と細胞質局在型のプラスミドを調製し、これを子宮内電気穿孔法によりマウス大脳皮質神経細胞に導入し、その効果を調べた。核内局在型NDNは野生型NDNと同じレベルの樹状突起スパイン密度の上昇が認められた一方で、細胞質局在型のNDNを導入した神経細胞ではさらなる樹状突起スパインの増加が認められた。本結果はNDNの細胞質での役割が樹状突起スパイン形成に対して重要であることを意味し、NDNが樹状突起スパインの形成タンパク質と直接的に結合している可能性を示唆するデータである。本結果により自閉スペクトラム症のモデルマウスで認められる樹状突起スパイン形成異常の分子メカニズムの一端が明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ndn下流遺伝子の探索について、最適な核抽出法の検討を完了した。Ndnの樹状突起スパイン形成メカニズムを調べる系を確立した。細胞質/核内Ndn遺伝子のどちらが樹状突起スパイン形成に重要かを調べ、細胞質Ndnが重要であることを明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で確立した系によりNdn下流遺伝子の網羅的探索を行う。また、細胞質でのNdnが重要であることが明らかとなったため、神経細胞における結合タンパク質のスクリーニングを行い、さらなる分子メカニズムを調べる。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、Ndnの標的下流遺伝子を探索するにあたり、FANS法で核抽出する予定であった。しかし、研究過程でIodixanol法の優位性が強く示唆され、実際に検証した結果、その優位性は示され、新たな知見として得ることができた。このため、本研究目的を遂行するにあたり、当初計画を変更し、Iodixanol法を主に行う必要があると判断した。なお、再現性の確認実験が終了したのが、令和6年3月であり、繰越申請に間に合わなかったため、今回申請を行う。
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