2023 Fiscal Year Research-status Report
SWEFタンパク質の時間的空間的制御による免疫記憶形成機構の解明
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23K06411
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐藤 克哉 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60733508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 仁 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20270647)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | RhoGEF / Bリンパ球 / SLE |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫寛容の破綻により自己抗体を産生することを特徴する疾患である。近年、SWEFタンパク質が機能を失うことが、これらの病態に関与していることが報告されたが、自己抗体産生との詳細な関係性は明らかにされていない。本研究は、抗体産生や免疫記憶形成におけるSWEFタンパク質の役割、および、その破綻による自己免疫疾患発症のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 抗体のファインチューニングには、IRF4やBATF、Junなどによって形成される転写因子複合体が関与することが知られている。そこで、これらの転写調節因子および、各種SWEFタンパク質を細胞に発現させ、IRF4を介した転写活性にSWEFタンパク質が与える影響について検討をおこなった。一方、SWEFタンパク質は、細胞質においてアクチン細胞骨格の制御因子としてはたらくことが報告されていることから、SWEFタンパク質の細胞質における機能に対するIRF4の影響を検討した。 その結果、IRF4が標的とする既知のDNA結合配列へのSWEFタンパク質の影響は低いと考えられた。一方で、SWEFタンパク質のアクチン細胞骨格制御因子としての機能はIRF4によって著しく抑制される可能性が示唆された。これらのことから、IRF4とSWEFタンパク質との相互作用が、SWEFタンパク質の機能の抑制に関与していると考え、両タンパク質の細胞内における相互作用の確認、それぞれのタンパク質の細胞内における局在を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SWEFタンパク質が、IRF4の既知の標的配列を介した遺伝子の転写活性に影響を及ぼさなかった。このことから、SWEFタンパク質が、IRF4とともにどの標的配列を認識するのか、それによって変化する遺伝子にはどのようなものがあるのか調査する必要があると考えている。現在、Bリンパ球モデル細胞を用いてSWEFタンパク質欠損細胞株を樹立するとともに、SWEFタンパク質の有無におけるIRF4の遺伝子発現への影響を調査している。この遺伝子欠損細胞株の作成に時間を要しており、研究立案当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に示したように、引き続き、SWEFタンパク質欠損細胞株の樹立を目指す。また、各種SWEFタンパク質の機能ドメインを改変した変異体を作成し、IRF4とSWEFタンパク質の相互作用および、細胞内における各種タンパク質の局在に与える影響を調査する。これによりSWEFタンパク質のどのような機能が自己免疫疾患と関連しているのかを明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要および、進捗状況の項目に示したように、SWEFタンパク質の欠損細胞樹立や、機能欠損変異体の作成に時間がかかっている。未使用分の費用は、これらの実験で使用する予定であった細胞培養および、クローニングのための試薬購入のために計上したものであった。研究の計画自体に変更はなく、欠損細胞樹立や機能欠損変異体の作成についても次年度引き続き行う予定であるため、繰り越し分の費用を活用して研究を遂行する。なお、研究進捗の遅れについても研究期間内での研究の完遂に支障がない程度であると考えている。
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