2023 Fiscal Year Research-status Report
可溶性レクチンを用いた関節リウマチ病態制御機構の検討
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23K06414
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
橋本 登 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (90712365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 史也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (40801626)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 乳歯歯髄幹細胞 / Siglec-9 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)において同定された分泌型Siglec-9(sSiglec-9)による関節リウマチに対する抗炎効果、病態制御機構を明らかにするために以下の検討を行った。抗2型コラーゲン抗体カクテルによって誘導されたリウマチマウスにsSiglec-9またはSHED-CMを投与すると関節炎の病態は未治療群に比べ抑制される。CTによってマウス骨組織を評価したところ骨密度が未治療群に比べ治療群で改善していた。さらにマウス病理組織においてもリンパ球浸潤や骨、軟骨破壊の抑制等の結果が得られた。 骨破壊への影響を明らかにするために破骨細胞への影響を解析した。マクロファージ様細胞株RAW264.7やマウス骨髄由来マクロファージから破骨細胞を誘導しsSiglec-9およびSHED-CMの効果を検討した。その結果種々の破骨細胞マーカーの抑制効果がrealtime qPCRやwestern blottingによる発現解析により明らかになった。またTRAP染色やアクチンリング形成等の解析により特に成熟破骨細胞の形成に影響していることが明らかになった。SHED-CM中の効果因子については液体クロマトグラフィー・質量分析・RNAシークエンス等の網羅的解析を実施しており、現在その効果因子の同定を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は関節リウマチにおける破骨細胞と滑膜線維芽細胞に対するSHED-CMおよびsSiglec-9の影響を解析する研究である。破骨細胞分化への影響は分化マーカーの抑制効果から明らかになった。すでに効果因子の検索は行なっており概ね順調である。また滑膜線維芽細胞の単離はすでに実施されているため順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は関節リウマチにおける破骨細胞と滑膜線維芽細胞に対するSHED-CMおよびsSiglec-9の影響を解析する研究である。破骨細胞分化への影響は分化マーカーの抑制効果から明らかになった。sSiglec-9とその他の効果因子の検索から得られた効果因子候補の精製品を加える、または阻害することによりどの因子が必要なのかを明らかにする。破骨細胞分化には他段階の機序がありどの分子がどのステップに関与するのかを明らかにする。滑膜線維芽細胞の単離はすでに実施されている。腫瘍壊死因子TNFalphaやインターロイキン1beta等で刺激されたのち炎症状態になるが、その際のsSiglec-9とSHED-CMの効果を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定していた破骨細胞の培養系の樹立に時間を要した。また、それらを評価するには実験動物の誘導が必要になり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 破骨細胞培養系の樹立に必要な試薬類と動物実験に要する動物費をタンパク質解析費と合わせて使用する予定である。
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