2023 Fiscal Year Research-status Report
高深度プロテオーム解析を用いたがんにおけるタイト結合タンパク質局在制御因子の探索
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23K06426
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高澤 久美 旭川医科大学, 医学部, 客員助教 (50359709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 啓 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00593021)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | タイト結合 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
タイト結合は、上皮・内皮細胞のバリア機能を担う細胞接着装置の一つであり、細胞の極性維持にも寄与している。近年、このタイト結合に関連したタンパク質の中に、がんで異常高発現するものが多数報告されてきた。申請者は、種々の腺がんを対象に膜型タイト結合関連タンパク質の免疫組織化学をおこなう中で、正常腺上皮と比較して、上皮内がんから高分化・中分化腺がんでは、染色強度の増加と共に、細胞内局在が変化することをしばしば経験してきたが、背景にある分子機構はいまだ明らかではない。本研究では、がんにおける膜型タイト結合関連タンパク質の局在変化を制御する分子機構を、特に膜型タイト結合関連タンパク質の翻訳後修飾の変動に着目して明らかにすることとした。これまでに、複数種類のがん細胞株を対象に、膜型タイト結合関連タンパク質の細胞内局在を免疫蛍光法により評価した。また、膜型タイト結合関連タンパク質複数種類について、免疫沈降に利用するためのFLAGタグを付加し、哺乳類細胞でドキシサイクリン依存的に発現させるためのコンストラクトを構築した。膜型タイト結合関連タンパク質の局在変化に関与する分子機構を明らかにすることで、膜型タイト結合関連タンパク質の局在変化に関する知見そのものが得られるだけでなく、我々が過去に報告してきた、がんにおける膜型タイト結合関連タンパク質の高発現とがん悪性化の間の分子機序の理解にも結び付く。本研究で得られる知見は、がんで異常高発現する膜型タイト結合関連タンパク質を標的とした新規治療戦略の立脚にも貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度途中に所属研究機関を変更したことに伴い、研究環境の調整に時間を要することとなり、当初予定よりも進捗が遅れた。膜型タイト結合関連タンパク質の発現コンストラクト構築に続く、コンストラクトの評価は未実施である。また、データ非依存質量分析法を用いた翻訳後修飾解析のサンプル調製法及びデータ解析法については予備検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したコンストラクトをトランスフェクションし、FLAGタグ付膜型タイト結合関連タンパク質のドキシサイクリン濃度依存的な発現誘導を確認する。発現誘導が確認できた細胞株についてプロテオーム解析及びリン酸化プロテオーム解析を実施し、発現と相関のある因子を検索する予定である。また、データ非依存質量分析法を用いた翻訳後修飾解析に向けてのサンプル調製法及びデータ解析法についての検討を継続する。
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Causes of Carryover |
年度途中において、所属研究機関を変更することとなり、新所属先において研究環境を調整しながら実験を行ったものの、最終的に次年度使用額が生じることになった。次年度については、本年度実施できなかった実験を合わせて施行する予定である。
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