2023 Fiscal Year Research-status Report
新世代in situ hybridization法の確立と多形肉腫の進化過程の解明
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23K06438
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
牧瀬 尚大 千葉県がんセンター(研究所), 臨床病理部, 医長 (70815373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河津 正人 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 部長 (20401078)
LIN JASON 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ がん遺伝創薬研究室, 研究員 (80774124)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 肉腫 / 病理 / ナノポアシーケンサー / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
【英語論文】Virchows Archiv誌にてEWSR1::NFATC2肉腫の一例報告を行い、特徴的な細胞診所見、細胞診検体を用いた免疫細胞化学やEWSR1 break-apart FISHの診断的有用性について論じた。Surgical Pathology Clinics誌にてCIC再構成肉腫のレビューを執筆した。その他、NTRK融合紡錘形細胞腫瘍の画像所見、筋線維腫の新規PDGRFB変異の症例報告に関わった。 【学会発表】第112回病理学会総会にてH3K27トリメチル化消失を伴う脱分化型脊索腫について口演を行った。H3K27トリメチル化消失を伴う脱分化型脊索腫は、比較的若年の女性の頭蓋底に発生し、特徴的な組織像や横紋筋への異所性分化を示す特異な一群であることを報告した。第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会にてACTB::GLI1融合間葉系腫瘍について口演を行った。第113回日本病理学会総会ではEWSR1::DDIT3の複雑な再構成をナノポアシーケンサーで同定した粘液型脂肪肉腫の一例について口演を、NTRK再構成紡錘形細胞腫瘍に類似の組織像を示すKIAA1549::BRAF融合肉腫の一例について示説を行った。融合遺伝子を有する軟部腫瘍、SWI/SNF欠損腫瘍、MDM2増幅を伴う肉腫についてそれぞれ招待講演を行った。 【日本語総説】脂肪肉腫と平滑筋肉腫の総説、病理医が遭遇する非腫瘍性骨関節病変の鑑別診断のポイントの総説を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
千葉県がんセンターの病理検体のアーカイブを見直し、新世代ISHを行う候補症例を多数リストアップした。GNAS変異を有する線維性骨異形成、筋内粘液腫や、IDH1/2変異を有する軟骨肉腫などを複数例同定した。これらの点変異を同定するための新世代ISH用プローブを設計済みである。 また、EWSR1::NFATC2融合肉腫、EWSR1::FLI1融合を有するEwing肉腫、EWSR1::ERG融合を有するEwing肉腫、AHRR::NCOA2融合を有する軟部血管線維腫、HEY1::NCOA2融合を有する間葉型軟骨肉腫などをリストアップ済みである。これらの融合遺伝子を同定するための新世代ISH用プローブも設計予定である。 ナノポアシーケンシングでは、ライブラリ調整方法、adaptive samplingの標的領域、点変異・融合遺伝子・コピー数解析方法、メチル化解析とメチル化による腫瘍型の推定方法、それぞれ検討と最適化を行い、以下のような症例を同定した;EWSR1::DDIT3融合とTERT C-124T変異を有する粘液型脂肪肉腫、EWSR1::FLI1融合を有するEwing肉腫、CD63::PRKCD融合を有する動脈瘤様皮膚線維腫、PAFAH1B1::USP6融合を有する動脈瘤様骨嚢腫、MYOD1 L122R変異を有する紡錘形細胞/硬化型横紋筋肉腫。また、ナノポアシーケンシングによるメチル化データによりこれらの腫瘍が比較的正確に腫瘍型分類されることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
GNAS変異を有する線維性骨異形成、筋内粘液腫、IDH1/2変異を有する軟骨肉腫、MYOD1 L122R変異を有する紡錘形細胞/硬化型横紋筋肉腫などを用いて新世代ISH法を試み、一塩基変異を弁別できるよう条件検討を行う。TERT C-124T変異を有する粘液型脂肪肉腫を用いることで、非コード変異の可視化も試みる。 EWSR1::NFATC2融合肉腫、EWSR1::FLI1融合を有するEwing肉腫、EWSR1::ERG融合を有するEwing肉腫、EWSR1::DDIT3融合を有する粘液型脂肪肉腫AHRR::NCOA2融合を有する軟部血管線維腫、HEY1::NCOA2融合を有する間葉型軟骨肉腫、CD63::PRKCD融合を有する動脈瘤様皮膚線維腫、PAFAH1B1::USP6融合を有する動脈瘤様骨嚢腫などを用いて、新世代ISH法による融合mRNA同定を試みる。 また、MDM2増幅を有する高/脱分化型脂肪肉腫、高/脱分化型骨肉腫を多数リストアップしているのに加え、ナノポアシーケンサーにより, MYC増幅を有する血管肉腫やCD63::PRKCDのtrisomyを有する皮膚線維腫などを同定済みである。新世代ISH法にてDNAのコピー数変化の可視化を目指す。 また、ナノポアシーケンサーにより正確にメチル化を同定可能であることを確認したため、診断上や治療上重要なCpGについて、新世代ISH法で同定を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は学会出張用の旅費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。
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[Presentation] ACTB::GLI1融合間葉系腫瘍の一例2023
Author(s)
牧瀬尚大, 影山肇, 竹田直生, 及川麻理子, 杉山孝弘, 川名秀忠, 荒木章伸, 塚西敏則, 木下英幸, 萩原洋子, 鴨田博人, 米本司, 伊丹真紀子
Organizer
第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会
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