2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the tumor microenvironment of the high-risk papillary thyroid carcinoma
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23K06456
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
千葉 知宏 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (60398617)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 乳頭癌 / 人体病理 / 腫瘍微小環境 / 細胞診 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺乳頭癌は、基本的に予後の良い癌であるが、一部に再発を繰り返す予後不良例(高リスク群)が含まれる。これまでの研究からドライバー遺伝子に関わらず、TERT promoter (TERTp)変異を有する乳頭癌の予後が悪いことを確認したが、そのメカニズムは明らかでない。形態学的解析から、TERTp変異例では、線維芽細胞、微小血管、免疫細胞を豊富に含む特徴的な間質(活性化間質)を伴うことを観察している。 本研究では、高リスク群であるTERTp変異例に注目し、その特異的な腫瘍微小環境の解明を目指す。研究実施にあたっては、当院の乳頭癌大規模コホート(約1300例)とLBC検体を利用し、1) immunogenomic landscapeの解析、2) IL-6/STAT3経路の役割の解明、3) 液状化細胞診(LBC)検体を用いた診断への応用の3点を試みる。 初年度は、乳頭癌大規模コホートを用いた免疫微小環境の解析を実施した。具体的には、乳頭癌症例のTissue microarray (TMA) 検体を用いて、STAT3、phospho-STAT3、cyclin D1、Bcl 2の免疫染色を実施した。その結果、STAT3が乳頭癌核内に集積した症例の方が臨床的予後が良いことを見出した。そのメカニズムは不明であるが、IL6/STAT3経路により間質がinactiveになったことも一因と考える。次年度以降、メカニズムの詳細を分子遺伝学的に解析する。 本研究により、高リスク群に特有の腫瘍微小環境が明らかとなれば、リスクの細分化や新たな治療開発に寄与すると考える。他のTERTp変異を有する悪性腫瘍への応用も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施状況に関してはおおむね順調に進展している。TMAを用いた検討を中心に進めているが、症例数が多いため、TMAの解析に最も時間がかかることを想定している。次年度以降も計画に沿って研究を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、当院にて得られたTERTp変異およびTERTp野生型乳頭癌の組織検体(各10-15例)よりRNAを抽出、mRNAライブラリーを作成してRNA-seqを実施する(RNA-seqは受託予定)。得られたデータをCIBERSORTにより解析し、高リスク群に特徴的な免疫微小環境を同定する。 また、炎症性シグナルとして重要であるIL6/STAT3経路に注目し、培養細胞および組織切片を用いた機能解析を実施する。 LBC検体を用いた解析を実施する準備段階としてLBC検体を用いた免疫染色および核酸抽出の条件を検討する。
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Causes of Carryover |
設備備品費として遺伝子解析用ワークステーションの購入を予定していたが(\300,000-)、施設内の研究者より遺伝子解析用ワークステーションを借りることができたため、購入する必要がなくなった。現状で、ワークステーション自体の購入の必要は無くなったが、ソフトウェアの購入や更新と周辺機器の購入のための費用が必要であり、次年度以降に使用する予定である。
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