2023 Fiscal Year Research-status Report
乳管形成および早期乳癌浸潤阻害における分子機構の解明
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23K06474
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中村 律子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20632657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 武 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00515314)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 乳腺 / 乳癌 / NELL2 / TGFBR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常乳腺において筋上皮にneural EGFL like (NELL) 2という分泌蛋白質が、乳管上皮にはtransforming growth factor beta (TGFBR) 1が発現していることを踏まえ、本研究ではまずNELL2とTGFBR1に結合性がみられるか確かめた。NELL2にFlagタグを、TGFBR1にHEタグを融合させた蛋白質を293T細胞で強制発現させ、免疫沈降―ウエスタンブロットにて解析したところバンドが確認され、これらの蛋白質は結合(複合体を形成)すると推測された。2つのタンパク結合にはNELL2はN末側のthrombospondin-like (TSP) ドメインが、TGFBR1は細胞外領域が関与していた。TGFBR1とヘテロダイマーを形成することが知られているTGFBR2ともNELL2は結合が認められた。NELL2によるTGFBRを介しての細胞内シグナルの変化は、乳癌由来細胞株のMDA-MB-231およびマウス乳腺由来細胞株のNMuMGにて調べた。SMAD2およびSMAD3のリン酸化に対してTGFB1単独で刺激した場合と比較し、TGFB1とNELL2を同時に加えた場合のほうが低濃度ではリン酸化が低下する傾向がみられた。NELL2の細胞増生への影響を確かめるため、NMuMGを用いてNELL2の有無による増殖形態の変化を調査した。はじめにNELL2がNMuMGの細胞表面へ結合することを確認した。細胞表面への結合もNELL2のTSPドメインが関与していた。その後、3次元ゲル内にてNMuMGをNELL2、TGFB1あるいはその両方の存在下にて培養した。NELL2が存在した場合は細胞の分枝形成が増加する傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
順調に進んでいたと思われた実験系が突然十分に機能しなくなった。また、強制発現細胞株の作成を試みているがまだ樹立できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
TGFBR1およびTGFBR2強制発現細胞にてNELL2やTGFB1刺激による細胞形態の変化がより顕著に生じるか確認する。これらの因子が2次元細胞増生に影響があるか調査する。NMuMG細胞のみでなく、乳癌由来細胞株などを用いても同様の実験を行う。
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Causes of Carryover |
一部の実験が順調に進んでおらず、手持ちの試薬を使用する機会が多くなったため次年度使用額が生じた。実験が進み方に応じて必要試薬等を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)