2023 Fiscal Year Research-status Report
B細胞におけるAPOBEC3の発現誘導機構及びその分子機能の解明
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23K06507
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
河原 佐智代 近畿大学, 医学部, 講師 (60297629)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | APOBEC3 / 胚中心B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
一本鎖DNAを標的とするシチジン脱アミノ化酵素であるAPOBEC3は、レトロウイルスゲノム逆転写産物への変異導入によりウイルスの細胞内複製を阻害する。また我々は、APOBEC3がレトロウイルス感染時の中和抗体産生にも強く関与することを、ヒト血液細胞を用いたDNAマイクロアレイ法と遺伝子欠損マウスを用いた感染実験により明らかにしてきた。しかし、中和抗体誘導の作用機序については未だその詳細は不明である。 今回我々は、APOBEC3はタンパク質レベルで主にB細胞に発現しており、その中でも胚中心B細胞で非常に強く発現していることを見出した。脾臓のみならず腸粘膜パイエル板の濾胞胚中心でもその高発現は認められ、またその発現量はレトロウイルス感染で変化しないものであった。AIDと同じように胚中心B細胞で強い発現を認めることから、APOBEC3も抗原認識とT-B細胞相互作用を経たB細胞内で特異的に機能している可能性が高いと考えられる。本研究では、B細胞の胚中心反応におけるAPOBEC3の役割をその発現誘導機構の解析から追究し、APOBEC3の新たな生理的機能を明らかにする。 2023年度の実験計画に従って、脾臓B細胞サブセット間でのAPOBEC3発現強度の比較解析を実施し、誘導性胚中心B細胞培養(iGC)系を用いてB細胞におけるAPOBEC3の発現刺激因子を同定した。また、胚中心B細胞分化誘導におけるAPOBEC3の関与について、APOBEC3欠損B細胞を用いたiGC系にてその解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の2023年度実験計画内容を概ね実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導性胚中心B細胞培養系とAPOBEC3欠損細胞を利用し、胚中心B細胞分化誘導、ならびに、その細胞周期や生存維持におけるAPOBEC3の機能解析を更に進める。また、胚中心B細胞からの形質細胞等への分化過程におけるAPOBEC3の関与についてはBCRコンジェニックマウスを用いた解析により検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度購入予定であった試薬の一部は2024年度購入に変更となる。人件費は2024年度に必要となるため繰り越した。
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