2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K06517
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (30398151)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マラリア / 免疫 / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリアの免疫抑制の原因は未だに不明点も多く、免疫疲弊解除、免疫抑制解除、免疫賦活を基盤とした治療薬やワクチンの研究は重要課題である。我々が着目しているメトホルミンは糖尿病治療薬でありながら免疫反応の調節機能があることが報告されており、免疫調節を基盤としたマラリア感染防御が期待できる。メトホルミンのマラリア感染防御効果はT細胞依存的であるため、本研究では「メトホルミンが赤血球に作用することで、マラリア原虫感染赤血球はCD8+T細胞の傷害標的となりやすく、その結果、原虫排除が促進される」と仮説を立て、これを検証する。我々は、マウスマラリアモデルを用いて、メトホルミン投与により、MHC クラス I+感染赤血球系細胞が感染早期に出現することを明らかにしているため、この細胞が標的になりやすいと考えている。特にMHC クラス Ⅰ+細胞はその半数がCD71陰性の未知の細胞であることから、2023年度は、メトホルミンが造血組織である骨髄や脾臓において、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞の分化・成熟を引き起こす可能性を調べた。メトホルミン投与しても骨髄、脾臓において、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞は出現しなかった。このことから、メトホルミン投与が、CD71-MHC クラス I+赤血球系細胞の分化誘導に促進的に働いているわけではないことがわかった。さらに、いずれの造血組織においても、感染赤血球系細胞のみがCD71-MHC クラス I+フェノタイプを示したことから、赤血球系細胞に原虫が感染した後に、CD71-MHC クラス I+フェノタイプへ変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の補助者が急遽1年間休んだため、研究を計画通りに遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
メトホルミンがMHC クラス I+赤血球系細胞の成熟や分化を促進するのか、CD71-MHC クラス I+細胞はどのような細胞であるか、また、メトホルミンによりこの細胞の免疫学的特性は影響を受けるのか明らかする。さらに、メトホルミンが赤血球系細胞の代謝やシグナル伝達を調節するのか明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究の補助者が1年間休んだことにより計画した実験を十分に進めることができず、使用額が減少した。次年度は2023年度に実施できなかった「メトホルミンの赤血球系細胞の分化や成熟に与える影響を明らかにする実験」に必要な試薬購入や学会発表の旅費に充てる予定である。
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