2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K06562
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳 直人 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90738121)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | HSV / 脳炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
単純ヘルペスウイルス(HSV)はヒトに口唇ヘルペス、性器ヘルペス、皮膚疾患、眼疾患、新生児ヘルペスなど多様な病態を引き起こす医学上重要なウイルスの一つである。その他にHSVは単純ヘルペス脳炎を引き起こす。抗ヘルペス剤が開発されている現在においても、治療開始の遅れなどによって3-5割の患者が死亡や社会復帰困難な重度の後遺症が残ることに至るため、単純ヘルペス脳炎の新規治療法の開発が強く望まれている。 本研究では、単純ヘルペス脳炎の憎悪に影響する免疫細胞や炎症反応の詳細を明らかにすることを目的とする。マウスHSV角膜炎モデルにおいて、マウスの脳内にHSVが侵入すると様々な免疫細胞の浸潤が引き起こされる。本研究ではまずいくつかの種類の免疫関連因子欠損マウスを用いて脳内に浸潤する免疫細胞量に違いが認められるか評価した。その結果、野生体マウスに比して免疫関連因子欠損マウスではHSV感染後の脳内に浸潤するいくつかの免疫細胞の量が減少することが示唆された。またこれらの免疫関連因子欠損マウスでは野生体マウスに比してHSV感染時のマウス致死率が低下することが示唆された。よってこれらの免疫細胞が単純ヘルペス脳炎の憎悪に影響することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って解析を実施できており、進捗に問題は無いと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗ウイルス剤や副腎皮質ステロイド薬の投与といった既存の治療法に比べて、対象とする免疫細胞を標的とした治療法が単純ヘルペス脳炎の治療に適しているかについては解析を実施すべきと考える。
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Causes of Carryover |
(理由)単純ヘルペス脳炎の憎悪に影響を及ぼす免疫細胞について複数の細胞が候補となった。そのため、本年度に実施予定であった解析の一部をより詳細に評価するために来年度に実施することとした。 (使用計画)本年度に得られた単純ヘルペス脳炎の憎悪に影響を及ぼす候補免疫細胞に関して、個別にその意義を解析する。これらの実験の実施にあたり、一般試薬、培養試 薬、牛胎児血清、プラスチック器具、抗体、マウス等の購入費が必要である。
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