2023 Fiscal Year Research-status Report
Competition between herpesviruses and immunity via paired receptors
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23K06564
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
末永 忠広 北里大学, 医学部, 教授 (20396675)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | グリコプロテイン / ペア型レセプター / 水痘帯状疱疹ウイルス / ヒトヘルペスウイルス6 / エントリー / 免疫細胞活性化 / 免疫細胞抑制化 |
Outline of Annual Research Achievements |
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)のエンベロープ分子複合体gH-gLがペア型レセプター分子VgHRと結合することによって、ウイルスエンベロープと細胞膜の膜融合を促進することが明らかとなった。VgHR導入細胞はVZV感受性となり、抗VgHR抗体は、VgHR導入細胞へのVZVの感染すなわち侵入(エントリー)を阻害した。gH-gL複合体あるいはエントリーに必須なもう一つのエンベロープ分子gBと結合する他のペア型レセプターを同定するために、可溶型gH-gL、可溶型gBを合成した。 ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)のエンベロープ分子複合体gH-gL-gQ1-gQ2(gHLQ12)が、ペア型レセプター分子HIRと結合することを見出し、その意義について解析した。HIRを導入した細胞はHHV-6感染抵抗性になり、逆にCRISPR-Cas9システ ムを用いて作出したHIR欠損培養細胞は感染感受性になった。また、gHLQ12はHIRと結合し、エントリーレセプターであるCD46とgHLQ12の結合によって誘導される膜融合を阻害することが明らかとなった。HIRの機能を解析するために、抗HIR抗体を作出および入手した。HIR導入細胞に可溶型gHLQ12との結合を阻害する抗体をスクリーニングした。 Alphafold 2を用いて、VZV gH-gL複合体とVgHRの結合、HHV-6 gHLQ12とHIRの結合を構造生物学的に解析を試みているが、後者は4量体とリガンドの結合であるため処理効率が低い。そこで、parallelfoldを導入し、計算機の処理能力を向上した。 HHV-6のgB, gH, gL, gQ1, gQ2以外の分子とHIR以外のペア型レセプターとの結合や機能を網羅的に探索するために、HHV-6ゲノム上にコードされる全遺伝子を哺乳細胞発現ベクターへクローニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VgHRとgHの結合、HHV-6 gHLQ12とHIRの結合の意義の一端を明らかにすることができた。その意義のメカニズムを構造学的にも明らかにすること、新たなVZV gB, gH、HHV-6 gHLQ12のリガンドを同定することなどは予定通り遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
VgHRとgHの結合、HHV-6 gHLQ12とHIRの結合がエントリーに関わる機能を解明したが、遺伝子導入細胞や欠損培養細胞での解析を行なったが、生理的意義を明らかにするために、初代培養細胞などを用いてのエントリー解析を行う。また、ペア型レセプターにおいて本来知られていた免疫応答への関連性はまだ明らかになっていない。VgHRとgHの結合、HHV-6 gHLQ12とHIRの結合における免疫細胞の機能を、サイトカイン産生や貪食機能、抗原提示機能をアウトプットに解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度の計画遂行に必要なサンプル量を当初予定より大幅に削減できる方策を考案したこと、また他研究者からの分与によって新たに作成する費用が大幅に圧縮することができた。本年度助成金を次年度と合わせることによって、円安にも伴う各経費の上昇に対処するだけではなく、次世代シークエンサーを用いた解析など当初予定はしていなかったが、より先進的で本研究計画に貢献する資材に投入することが可能になる。
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