2023 Fiscal Year Research-status Report
感染性胃腸炎の原因ウイルス種の侵入・増殖に関する基盤研究
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23K06579
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
谷 英樹 富山県衛生研究所, ウイルス部, 部長 (20397706)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 下痢症ウイルス / ノロウイルス / サポウイルス / 高感度細胞侵入検出システム / 細胞培養系 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々のウイルスが原因となるウイルス性胃腸炎は、世界中で日常的に蔓延しており、乳幼児を除き重症化リスクは低いものの、発症すると一時的な生活の質(QOL)の低下も認められるため、ワクチンや抗ウイルス薬の開発が望まれている。しかしながら、こうしたウイルス種の多くは未だ容易に増殖できる細胞培養系が確立していない。本年度は、申請者らが既に確立しているヒトノロウイルス様粒子を用いた高感度細胞侵入検出システムを、同様に下痢症ウイルスとして知られるサポウイルスにおいても構築することを行なった。臨床検体材料をもとに HiBiT タグを付加したヒトサポウイルスのカプシド遺伝子をクローニングし、組換えバキュロウイルスを作製した。組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させ、ヒトサポウイルスVLP/HiBiT を回収した。これまでにノロウイルスの高感度細胞侵入検出システムで用いた LgBiT 発現細胞株(COS7, 293T, Huh7, CaCO2, MA104)に加えて、ヒトサポウイルスの増殖性が報告されている十二指腸由来細胞株であるHuTu80細胞においてもLgBiT発現細胞株をクローニングして感受性を検討した。その結果、ヒトノロウイルスと同様に細胞株によって感受性の異なる株が見られたがヒトノロウイルスに比べて感受性の指標となるルシフェラーゼの値が低くなることがわかった。これに関しては感染増強に関与する因子の添加など更なる検討が必要と考えている。 これに並行して、下痢症ウイルスの臨床検体を大量入手するために、医療機関と連携して患児おむつ検体を提供してもらう体制を整えた。その結果、ノロウイルス9検体、サポウイルス5検体の臨床材料を入手することができた。今後、これらを用いて培養細胞での増殖性について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サポウイルスのVLPシステムについてもノロウイルスと同様に構築することができている。臨床検体の入手に関してもスムーズに手続きが整い、今後、実験に活用できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
サポウイルスのVLPシステムの感度について感染増強因子の添加などを検討して、細胞侵入機構について解析を進める。大量の臨床検体を用いて、候補培養細胞株での増殖性について検討予定の条件項目を順次実施する予定である。
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