2023 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイドを用いたLTRAによる大腸腫瘍化学予防効果の解明
Project/Area Number |
23K06617
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
日暮 琢磨 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90622580)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 大腸癌 / オルガノイド / ロイコトリエン受容体拮抗薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、大腸癌患者より内視鏡検査で大腸癌細胞を採取し、大腸癌オルガノイドを作成した。大腸癌オルガノイドは患者毎に性質が異なるため、幅広く解析を行う目的で、現在5株を樹立している。今後は10株程度まで増やして、解析を行う予定である。 作成したオルガノイドを用いて、LTRAを投与し、細胞増殖を抑制する濃度を設定するための予備実験を開始した。濃度x以上(unpublish data)で細胞増殖を抑制することが判明したため、今後はその濃度で細胞増殖に対しての作用を確認していく。 ロイコトリエン(LT)の合成経路としては、白血球などの細胞が刺激を受けると、ホスホリパーゼ A2が活性化され、核膜リン脂質よりアラキドン酸が遊離される。アラキドン酸は5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)により提示され5-リポキシゲナーゼの作用により LTA4が合成される.LTA4はさらにロイコトリエンC4合成酵素によりグルタチオンを付加されLTC4となる。LTC4は ATP 依存的に細胞外に放出され、そこでさらに LTD4、LTE4へと代謝される。喘息やアレルギー疾患ではこの各種LTが、Cysteinyl leukotriene 1 receptor (CysLT1R)とCysLT2Rを介して作用し、局所でのプロスタグランディンE2(PGE2)の合成を行い、また平滑筋の収縮を促進することが病態の中心となっている。一方で、大腸においては、CysLT1RとCysLT2Rは大腸上皮にも存在し、大腸癌になると発現が増加することが報告されている。現在、CysLT2Rの経路について解析を行っている。 また大腸癌に対しての投与濃度設定が完了したので、現在、大腸腺腫、正常大腸上皮に対する投与濃度を設定中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、大腸癌に対するLTRAの抗腫瘍効果の機序解析および、腺腫、正常上皮に対する影響の解析を進めていく。
|
Causes of Carryover |
実験の消耗品は前年度までに取得した研究費で購入した物品で実施したため、実験消耗品の購入がなかったため、残額が生じた。あまった研究費は次年度以降で消耗品の購入に充てる予定である
|