2023 Fiscal Year Research-status Report
HDAC阻害剤によるEGFR変異肺癌のICI耐性の克服法の開発
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23K06635
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
住本 秀敏 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (00306838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | EGFR / 肺癌 / ケモカイン / 免疫療法 / エピジェネティック |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、(1)「EGFR変異癌のマウス同系腫瘍モデルを用いた解析」と(2)「ヒトEGFR変異肺癌の免疫不全マウス移植腫瘍モデルを用いた解析」の構築に取り組んだ。 (1)に関しては、マウス大腸癌細胞株(CT-26, MC38)にヒト変異EGFR発現レトロウイルスベクターを感染させ、ヒト肺癌株と同様にケモカイン発現が、EGFRシグナルで抑制されるか検証した。ケモカイン発現はmock感染細胞よりEGFR発現細胞で抑制されていたが、EGFR-TKI処理により発現回復は得られなかった。異なるマウス細胞株(4T1(乳癌), EMT6(乳癌), RENCA(腎細胞癌))に拡張して検証したが、同様にヒト肺癌と同じ表現型は観察できなかった。そこで、ヒトEGFR下流のscaffold proteinであるPBXIP1がマウスで欠損していることが原因である可能性を考え、ヒトPBXIP1 cDNAを変異EGFR発現マウス癌細胞に導入後、EGFR-TKIによるケモカイン発現回復を検証したが、ヒト肺癌の表現型は再現できなかった。以上より、マウス癌細胞株にヒトEGFR遺伝子を発現させることでヒトと同様の性質を持たせることは困難と判断し、この実験系は断念した。 次に(2)の実験系の構築として、ヒト悪性黒色腫抗原のMART-1発現レトロウイルスベクターを構築し、ヒトEGFR変異肺癌細胞株PC-9へ感染させたが、MART-1は低発現だったため、標的抗原をNY-ESO-1へ変更した。NY-ESO-1を発現するレンチウイルスベクターを構築し、PC-9細胞へ感染後、良好な発現が確認できた。今後、HLA-A2拘束性のNY-ESO-1反応性T細胞受容体発現レトロウイルスベクターを構築し、ヒトCD8+T細胞へ感染させてNY-ESO-1+ PC-9細胞株への細胞傷害活性を確認し、動物モデルへ進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記実績報告にあるようにマウス動物モデルの構築がまだ果たせていない。マウス同系腫瘍を用いた同様の先行研究があるが(Sci Immunol, 2020)、同じ癌細胞株(MC38)を用いても再現性は得られなかった。計5種類までマウス癌細胞株を拡張して検証したが単にEGFRを強制発現させるだけでは、表現型の再現は得られなかった。そこで、よりヒトのシグナル伝達系に近づけるためにEGFR下流のscaffold proteinのPBXIP1(シグナル伝達に必須とされる)の強制発現を試みたが、これでも叶わなかった。原因は不明であるが、de novoの肺癌とは異なる文脈で癌化した細胞に別のドライバー遺伝子を発現させても肺癌と同じではないものと考える。 別の実験系としてヒト肺癌細胞株に標的抗原を発現させて、それに対するCTLを用いた養子免疫療法の実験系の構築を並行して進めた。最初にMART-1を標的抗原とする系の構築を試みたが、レトロウイルスベクターでは発現が弱く、MART-1特異的CTL誘導も養子免疫に用いるには低頻度であり、MART-1 TCR発現系の構築もベクター入手困難のため、NY-ESO-1に抗原を変更して進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
NY-ESO-1を肺癌細胞株へ強制発現させることに成功したため、NY-ESO-1 TCRレトロウイルスベクター(入手済み)を用いてヒトCD8+T細胞への遺伝子導入を行い、NY-ESO-1特異的細胞傷害活性が得られることを検証する。さらに、免疫不全マウスの移植モデルの構築、NY-ESO-1特異的CD8+T細胞の養子免疫によるin vivoの実験系の構築へと進む。さらに、EGFR阻害やHDAC阻害に伴う肺癌細胞からのケモカイン発現回復が養子免疫による抗腫瘍効果を増強するか否か、さらにはPD-1抗体による治療効果を増強させるか否かの検証に進んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
実績報告書に記載したように、前年度でマウス動物モデルの構築が果たせなかったため、動物実験で使用する予定の試薬器具類など関連諸費用の使用に至らなかったことが主な理由である。今後、新たにNY-ESO-1遺伝子導入肺癌細胞株を用いた養子免疫療法の系が確立できれば、前年度に未使用の研究費を含めて計画の推進のため使用していく。
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Research Products
(2 results)