2023 Fiscal Year Research-status Report
パイロトーシス実行因子GSDMDを標的としたCAF化肝星細胞排除法の開発
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23K06655
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
山岸 良多 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30793145)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GSDMD / 細胞老化 / SASP |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまで肥満誘導性肝がんの進展において、肝がん腫瘍部に存在する肝星細胞の細胞老化とそれに伴うSASP(senescence-associated secretory phenotype)因子と呼ばれるがん促進的な分泌因子の放出が重要であることを報告してきた。またSASP因子は、パイロトーシスの実行因子であるGSDMDのN末端断片が形成する小孔を介して細胞外へと放出されることを確認している。本研究では、このGSDMDに着目し、SASP因子の放出阻害法を確立し、がんの新規治療法の開発に繋げることを目指している。そこで、GSDMDのN末端の安定発現株を作成し、CRISPR-Cas9ライブラリーによる網羅的なノックアウトを行うことでGSDMD-N末端小孔の形成を阻害する因子の探索を行っていく。しかし、GSDMDのN末端の発現は、パイロトーシスの実行因子として細胞死を誘導させてしまう。そこでTet-onシステムによりドキシサイクリン添加で任意にGSDMD-Nを発現させることができる細胞株を作成し、阻害する因子の探索を行っていく。本年度については、GSDMD-Nの安定発現株の作成を行ったため、今後この安定株を用いてゲノムノックアウトスクリーニングを実施していく。 また肥満誘導性肝がん以外にどういった癌腫でGSDMD-N末端が形成されるかを解析するため、種々のヒトがん組織アレイサンプルに対してGSDMD-N特異的抗体を用いた組織染色を行ったところ、乳がん、大腸がん、胃がんといったがん種においてCAF内でGSDMD-Nが検出されることを確認された。これによりGSDMD-N末端小孔の阻害が、肝がん以外の癌腫においても有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、GSDMD-N末端小孔形成を阻害する因子を探索するため、ゲノムノックアウトスクリーニングに用いる安定発現株を作成し、今後のスクリーニングに実施における実験系を立ち上げた。またGSDMD-N末端が、肝がん以外の癌腫においても形成されることを見出し、本研究の成果が複数の癌腫に有用となる可能性を示した。よって、今年度は概ね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成したGSDMD-Nの安定発現株を用いてゲノムノックアウトスクリーニングを行い、小孔形成の阻害因子を探索する。同定された因子については、老化肝星細胞に対しても、小孔形成を阻害するか検証を行っていく。またGSDMD-N末端が、他の癌腫でも検出されたため、大腸がんを始めとする各がん種のマウスモデルを作成し、GSDMD-N末端小孔の阻害が腫瘍形成抑制に繋がるか検証を行っていく。
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