2023 Fiscal Year Research-status Report
IL-33-ILC2系による抗腫瘍効果の作用機序の解明
Project/Area Number |
23K06668
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅尾 敦子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10623605)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 直人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60291267)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | インターロイキン33 / 2型自然リンパ球 / 抗腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、インターロイキン33(IL-33)によって2型自然リンパ球(以下ILC2)が活性化することで強い抗腫瘍効果が発揮されることがマウス担癌モデルで報告された。その機序の一つとしてILC2活性化によって誘導される好酸球が関与することが示されたが、獲得免疫との関連は不明である。申請者は、このIL-33-ILC2系の抗腫瘍効果がCD8 T細胞依存的であること、かつT細胞補助刺激分子OX40依存的であることを見出した。OX40はT細胞活性化に必須のシグナルを伝達し抗腫瘍免疫に促進的に作用することから、IL-33-ILC2系の下流でOX40-OX40L系が活性化することで抗腫瘍効果が発揮される可能性が想定される。そこで、本研究では、上述の申請者自身の知見をもとにIL-33-ILC2系による抗腫瘍効果の免疫学的機序を明らかにする。そこで、令和5年度では、悪性リンパ腫細胞株EL-4および悪性黒色腫細胞株B16-F10をC57BL/6マウスに移植し担がんマウスを作成し、同マウスにIL-33を投与することにより、IL-33の抗腫瘍効果および脾臓と腫瘍組織における免疫細胞の挙動を詳細に解析した。その結果、従来の報告通り、IL-33投与により腫瘍増殖が有意に抑制された。また、IL-33を投与したマウスの腫瘍組織において、CD4陽性およびCD8陽性の活性化T細胞、特にIFNγ産生T細胞の有意な増加とILC2の著しい増加が観察された。IL-33投与による腫瘍増殖抑制と腫瘍組織におけるT細胞増加は阻害性抗OX40リガンド抗体投与によりほぼキャンセルされた。すなわち、IL-33依存的抗腫瘍免疫応答がOX40依存的であることが示唆された。次年度には、同応答におけるOX40の関与メカニズムを明らかにしていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカインや抗体などin vivo実験に使用する試薬の準備や担がんマウスモデルを用いた抗腫瘍免疫評価の実験系の確立など、当初予定していた実験のほとんどが遂行できた。また、その実験結果も予想通りであったことから、次に実施する実験も予定通りに遂行できる見込みである。以上から本研究は順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の実験によりIL-33による抗腫瘍免疫応答がOX40依存的であることが示唆された。IL-33が2型自然リンパ球特異的な増殖・活性化因子であり、OX40はT細胞補助刺激分子であることから、IL-33が2型自然リンパ球の活性化を介してT細胞にOX40シグナルを供与する可能性が想定される。次年度には本仮説を証明するための各種実験を実施する予定である。
|