2023 Fiscal Year Research-status Report
抗原陰性再発の克服を目指した多重特異性CAR-T細胞の開発
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23K06692
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳生 茂希 信州大学, 学術研究・産学官連携推進機構, 教授(特定雇用) (10572547)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / 固形腫瘍 / EPHB4 / EPHA2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、EPHファミリーたんぱくを複数認識することが可能なCAR-T細胞の開発とその抗腫瘍効果の検証を行うことを目的とする。また、本手法を用いることで、単一抗原を標的とするCAR-T細胞と比較して、抗原陰性再発を克服することが可能かを検証する。現在までに、多くの癌腫に高発現している癌胎児性抗原であるEPHB4、EPHA2を同時に認識するタンパク質を同定することに成功した。さらに、このタンパク質をコードする遺伝子を、CD28、CD3ζ鎖とともに一本鎖となるようにクローニングし、このCAR発現遺伝子をピギーバックトランスポゾンプラスミドに組み込んだ。さらに、すでに我々が確立しているCAR-T細胞製造法をもちいて、EPHB4/EPHA2を特異的に認識するCAR-T細胞(以下EPH CAR-T)の製造に成功した。 特性解析の結果から、EPH CAR-T細胞のCAR発現率はおよそ30-60%であり、Stem cell memory-like T細胞分画を優位に含むことが明らかとなった。神経芽腫、または肺がん細胞株より、EPHB4陽性腫瘍細胞株、EPHA2陽性腫瘍細胞株をスクリーニングし、それぞれの細胞株とEPH CAR-T細胞を共培養したところ、CAR-T細胞は抗原刺激特異的にIFNγを産生した。また、リアルタイム細胞アナライザー解析の結果、EPH CAR-T細胞はいずれの細胞株にも強力な抗腫瘍効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EPHA2、EPHB4に多重特異性をもつCAR-T細胞の製造に成功し、薬効が評価できていること。
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Strategy for Future Research Activity |
EPHB4陽性細胞株、EPHA2陽性細胞株を用いた担がんマウスモデルを作成する。また、EPH CAR-T細胞をマウスに単回接種することで、in vivo薬効評価と、安全性試験を実施する。
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Causes of Carryover |
現在、CAR-T細胞の網羅的遺伝子解析を計画しているが、本解析用に計画していた予算執行が次年度にずれこんだため、次年度使用額として、網羅的遺伝子解析費用を計上したいと考えている。
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