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2023 Fiscal Year Research-status Report

腫瘍反応性T細胞の濃縮と機能改善に基づく婦人科がん個別化T細胞療法の新規開発

Research Project

Project/Area Number 23K06710
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

吉川 聡明  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00625957)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords腫瘍浸潤リンパ球 / 個別化 / T細胞移入療法 / 自己腫瘍反応性 / T細胞機能改善
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、腫瘍浸潤リンパ球(Tumor infiltrating lymphocyte: TIL)から一部の腫瘍反応性TILを濃縮し、さらに遺伝子改変により、低下した増殖能・長期生存能を亢進させ、持続的な抗腫瘍効果を高めた新たな個別化T細胞移入療法の開発を目的とした。
婦人科がん患者の手術切除検体を分散処理し、まず、TILの最適な刺激培養条件を検討した。これまでに世界で広く行われているTILの培養方法としては、高濃度IL-2のみの刺激があるが、抗原刺激や共刺激が入っているかは不明であり、T細胞レパートリーが増殖し易い細胞に偏るため、多様な腫瘍反応性TILを失っている可能性がある。本研究ではIL-2を低濃度にして抗CD3抗体と同時にCD80等の共刺激分子による刺激も加えることで、過剰な活性化や不応答になることを防ぎ、多様なT細胞レパートリーを保ったTILの増殖を促すことを目指した。培養後の増殖能・メモリーフェノタイプ・疲弊化マーカー・TCRレパトアの偏り・自己腫瘍反応性などを解析し、従来の高濃度IL-2で培養したTILと比較することで有用性を評価した。結果として、OKT3-CD80刺激による培養方法の方が、遺伝子導入効率が高率であり、高い細胞増殖率も得られた。TCRレパトア解析においては、どちらの培養法も、培養後TCRレパトアの多様性が認められた。分散処理した自己腫瘍細胞と共培養しIFN-γ ELISPOT解析により腫瘍反応性を評価したところ、どちらの培養法のTILも自己腫瘍細胞に対してIFN-γ産生を認め、その頻度は同程度であった。
これらより、我々が行ったOKT3-CD80刺激による培養方法は、TILのTCRレパトアの多様性や自己腫瘍反応性TILの頻度を損なうことなく、in vitroでの増殖と遺伝子導入効率においては、従来の高濃度IL-2培養法よりも優れていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がん患者の手術切除検体を分散処理し、がん細胞とTILを使用した。増殖能・生存能を亢進させるために、TILに遺伝子導入しサイトカインシグナルを恒常的に活性化させた。TILに適した刺激培養方法と遺伝子導入方法の検討を行ったところ、過去に報告されている高濃度IL-2のみの刺激培養方法と比較して、抗CD3抗体(クローン:OKT3)と共刺激分子CD80による刺激培養方法の方が、遺伝子導入効率が高率であり、高い細胞増殖率も得られた。培養後に疲弊化マーカーとしてPD-1, Tim-3, LAG-3の発現を比較したところ、高濃度IL-2培養とOKT3-CD80培養の間で同程度であった。TILを増殖させた前後でT細胞受容体(T cell receptor: TCR)のレパトア解析を行った。高濃度IL-2培養法もOKT3-CD80刺激培養法も、培養後にもTCRレパトアの多様性が認められた。培養したTILの腫瘍反応性を調べるため、分散処理した自己腫瘍細胞と共培養しIFN-γ ELISPOT解析を行った。高濃度IL-2培養とOKT3-CD80刺激培養法どちらで増殖させたTILも自己腫瘍細胞に対してIFN-γ産生を認め、その頻度は同程度であった。
これらより、研究計画はおおむね順調に進行しており、TILのin vitroでの増殖と遺伝子導入効率において、高濃度IL-2培養法よりもOKT3-CD80刺激培養方法が優れており、さらにTCRレパトアの多様性や自己腫瘍反応性TILの頻度は保たれていたことを確認できた。

Strategy for Future Research Activity

今後は、TILにサイトカインシグナルを入れることによる機能改善を詳細に評価する。我々は、恒常的にIL-7サイトカインシグナルを伝えるキメラ受容体を独自に開発し、T細胞に遺伝子導入することで増殖能やin vivoでの長期生存能が亢進する知見を得ている。TILにキメラ受容体を遺伝子導入し、増殖能や細胞傷害活性、サイトカイン産生能(IFN-γ, IL-2, TNF-α)等の多機能性を評価する。
また、オルガノイドや免疫不全マウスを使用して自己腫瘍細胞を増殖させ、自己腫瘍を標的として細胞傷害性試験やサイトカイン産生能(IFN-γ, IL-2, TNF-α)を解析することで、TILの自己腫瘍に対する反応性を評価する。In vivoで免疫不全マウスに腫瘍を移植し、作製した抗腫瘍T細胞を移入して抗腫瘍効果を評価する。また、T細胞移入後のマウス末梢血や腫瘍組織を解析し、T細胞の長期生存能や腫瘍局所への浸潤能を生体内で評価する。

Causes of Carryover

今年度は研究代表者が所属する研究室の移転(引っ越し)により研究を一時中断し、新所属機関での研究スタートまでに時間を要したためである。
現在はすでに研究室の設備等は整っており、新所属機関の病院と連携して患者検体を得ることもスタートできているため、次年度はさらに加速して研究を進めていく。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Development of a chimeric cytokine receptor that captures IL-6 and enhances the antitumor response of CAR-T cells2024

    • Author(s)
      Yoshikawa Toshiaki、Ito Yusuke、Wu Zhiwen、Kasuya Hitomi、Nakashima Takahiro、Okamoto Sachiko、Amaishi Yasunori、Zhang Haosong、Li Yang、Matsukawa Tetsuya、Inoue Satoshi、Kagoya Yuki
    • Journal Title

      Cell Reports Medicine

      Volume: Apr 16 Pages: 101526~101526

    • DOI

      10.1016/j.xcrm.2024.101526

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] A novel chimeric cytokine receptor-engineered CAR-T cells with potent cytotoxicity and reduced cytokine release syndrome2023

    • Author(s)
      Toshiaki Yoshikawa, Sachiko Okamoto, Yasunori Amaishi, Yuki Kagoya
    • Organizer
      第27回日本がん免疫学会総会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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