2023 Fiscal Year Research-status Report
長・短鎖循環DNAバランスによる直腸癌に対するTNT療法の効果・予後予測
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23K06725
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
関口 久美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (80714550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 明久 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00366741)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 循環DNA / 局所進行直腸癌 / TNT療法 / 治療効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所進行直腸癌に対する新規治療戦略である化学放射線療法と全身化学療法を術前に行うTNT(Total neoadjuvant therapy)療法は,近年の臨床試験にて長期予後を改善すること,有効例に対しては,非手術療法(NOM: non-operative management)が選択され,約50%の症例で長期的に肛門温存が可能であることが示され注目を集めている。しかし,TNT療法の治療効果予測における有効なバイオマーカーの開発は不十分である。Liquid biopsyのGolden standardは,腫瘍組織を用いた次世代シーケンサー解析により同定した変異遺伝子の血中での検出(circulating tumor DNA:ctDNA)であるが,高コストがその臨床応用への妨げとなっている。血中にはアポトーシスあるいはネクローシスを起こした細胞から流出する循環DNAが存在しており,180bp未満の短鎖循環DNA(short-fragment)は正常細胞のアポトーシス由来であり,300bp以上の長鎖循環DNA(long-fragment)は主に腫瘍細胞のネクローシス由来であることが分かっている。そこで,我々は局所進行直腸癌手術症例を対象に血中cell-free (cf) DNA量およびlong/short-fragment DNA比(L/S比)の術前治療の効果予測因子としての意義を検討している。治療前後の比較では,術前化学療法(NAC)に比べ,TNTではより高い殺細胞効果を反映してcf DNA量はより増加していた。しかし,LS比は,NACに比べTNTでより低値を示した。本結果は,TNTのNACに比べたより高い治療効果を反映していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
pilot研究では有望な結果が得られているが,十分な統計学的検出力を有するサンプルサイズの集積がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数の集積とともに,TNT療法における病理学的完全奏功(pathological CR)症例の予測,および,治療終了後のみならずpCRのより早期の予測が可能であるか検討を行う。また,近年注目されている腸内細菌の観点からもTNTの治療効果予測に関しても併せて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
症例集積の遅れから解析症例数が少なかったため。解析の用いる消耗品を中心に使用する予定である。
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