2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of CD73 internalization mechanism by low-molecular-weight compounds and development of anti-cancer drugs
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23K06736
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
富岡 佳久 東北大学, 薬学研究科, 教授 (00282062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 泰利 東北大学, 薬学研究科, 助教 (70635557)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | CD73 / 低分子化合物 / 内在化機構 / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、候補化合物によるCD73発現量変化の詳細な検討を行うとともに、CD73内在化の評価系の構築を進めた。 CD73の酵素活性を阻害することが確認された13種類の候補化合物の中で、細胞への投与により、CD73のタンパク質レベルでの発現量を減少させる化合物を5種類同定した。化合物投与後も培地中にCD73は検出されなかったことから、化合物がCD73を細胞膜上から遊離させて、見かけ上の発現量が低下した可能性は否定的だった。また、候補化合物投与によるCD73タンパク質発現量の減少は急速であり、膜表面に発現するCD73が内在化し分解されるという仮説に矛盾しないと考えられた。仮説をさらに補強するため、転写レベルにおけるCD73発現抑制がないことをqPCRで確認するとともに、細胞内の分解経路の特定を進めている。 並行してCD73の内在化の評価系の構築を行った。CD73を発現しないことが知られているHEK293細胞を用いて、野生型CD73および、C末端にFLAGタグを付加したCD73を発現する安定発現株を作製した。CD73が膜表面に正しく発現していることはフローサイトメトリーにて確認した。樹立した細胞を用いて、化合物投与によるCD73-FLAG内在化を、抗FLAG抗体を用いた蛍光免疫染色で評価する予定である。加えて、生細胞の細胞膜上のCD73をビオチン化することで、蛍光標識ストレプトアビジンを用いて内在化を評価する系の予備検討も行なっている。さらにCD73のC末端にGFPを付加したコンストラクトの作製も進めており、生細胞におけるCD73の局在および化合物による局在の変化も評価可能になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD73の内在化はこれまでほとんど報告がなく、抗CD73抗体を用いた蛍光免疫染色でしか評価されていない。CD73の内在化を評価する新たな系として、CD73-FLAG安定発現細胞を樹立し、さらにCD73-GFP発現細胞の作製も順調に進んでおり、化合物投与によるCD73の内在化や、内在化後の局在の検討を来年度の早期に始めることが可能と考えられることから、研究は概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
CD73内在化の評価系を複数確立し、候補化合物投与によるCD73の内在化を証明するとともに、内在化後のCD73分解の機序を明らかにしていく予定である。内在化機構が明らかになった後は、化合物とCD73の相互作用部位の予測や構造展開・構造最適化などを進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
CD73評価系の構築にやや時間を費やしており、実際の評価に必要な抗FLAG抗体や蛍光標識ストレプトアビジンなどの購入に必要な費用を次年度に繰り越したため。測定系が確立次第、繰り越した予算で、蛍光免疫染色に必要な物品を購入し検討を進める予定である。
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