2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of cancer diagnostic method based on modified nucleoside profiling
Project/Area Number |
23K06737
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 洋太郎 東北大学, 薬学研究科, 講師 (90420041)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 修飾ヌクレオシド / 修飾核酸 / LC-MS/MS / プロファイリング / がん診断法 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がんをはじめとする様々な疾患や酸化ストレスによって変動する修飾ヌクレオシドを網羅的にかつ精密に定量する独自の手法を応用し、修飾ヌクレオシドをプロファイリングすることで新たながん診断法開発を目指している。 修飾ヌクレオシドは、RNAの構成成分であるリボヌクレオシドにメチル化などの転写後修飾が加わったもので、150種類以上知られている。修飾ヌクレオシドの発生は成長や生体の環境変化に伴うと予想されており、酸化ストレスや様々な疾患と修飾ヌクレオシドについての報告がなされている。このことは、血中修飾核酸量の変動が生体の様子を反映している可能性を示す。また、RNA上で発現した修飾ヌクレオシドは代謝によりモノヌクレオシド化されて血中へと放出されていく。つまり、生体中の修飾ヌクレオシド量の把握、修飾ヌクレオシドプロファイル解析が疾患および病態解明につながるものと考えられる。 今回私は構築した修飾ヌクレオシド29種類の同時定量系の改良と、定量対象を含めた50種類以上の修飾ヌクレオシドを用意し、分析における干渉の影響の検証や生体試料中濃度範囲の予備検討を行った。 今後は確立した本測定系を用いて様々ながん種の患者検体の分析を進めていく予定である。 また、付随研究として、修飾ヌクレオシドの一つであるPseudouridineや1-methyladenosine、N6-Threonylcarbamoyladenosineが I型糖尿病(T1D)の予後予測バイオマーカー候補であることに関連し、尿毒症物質などを含めたT1Dバイオマーカー15種同時定量系を開発・報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は修飾ヌクレオシドの分析法の課題を解決し、次年度以降に臨床検体の分析を行う計画であり、概ね予定通りである。 本テーマにおける診断法を開発するうえで網羅的な修飾ヌクレオシド同時定量系の確立が最優先事項である。検討の結果、分析標品や安定同位体の天然同位体の映り込みによって定量下限付近で影響を受ける化合物を特定し、内部標準物質濃度の変更、LC分離条件やMS検出条件を見直しを行った。またプール血漿などの体試料においてほとんど検証されてこなかった修飾ヌクレオシド群について検出可能かを確認し、現実的に評価可能な修飾ヌクレオシド群を定めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
修飾ヌクレオシド同時定量系として、所有する分析標品50種類以上について安定同位体を内部標準物質に用いて生体マトリックスによるイオン化抑制の影響を補正し、検量線の作成、ならびに血液や尿を用いたメソッドバリデーションを実施する。 構築した分析法を用いてがん患者検体(大腸がん、食道がん、膵がんを予定)、および健常人血漿検体の修飾ヌクレオシド量を測定する。有意差のある修飾ヌクレオシドについて多重ロジスティック回帰解析を行う。各種がんと比較することで疾患鑑別・早期診断法へ展開し、修飾ヌクレオシドプロファイリング検査法としての有用性・一般性を検証する。
|
Causes of Carryover |
学会等の出張の予定が変更になり、次年度使用額が生じた。 翌年度分として は物品費(分析実験の消耗品等)で使用する計画である。
|