2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of therapy of peritoneal dissemination using novel nucleic acid drugs and extracellular vesicles
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23K06772
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大澤 英之 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60458271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
齋藤 晶 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20721608)
宮戸 秀世 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90813163)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵癌 / マイクロRNA / エクソソーム / 腹膜播種 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は予後の悪い難治癌の一つであり、なかでも腹膜播種をきたした膵癌の予後は極めて悪く平均生存期間は数ヶ月に留まるのが現状である。我々は、胃癌腹膜播種症例の腹腔内エクソソームにおいてmiR-29 familyが著明に減少していることを報告し、miR-29bを腹腔内に補充することで腹膜の線維化が抑制され、腹膜播種の進展も抑制されるという知見を見出した。本研究では、胃癌と同様に腹膜播種の有無で予後が大きく左右される膵癌を対象に、腹腔内へのmiRNA補充療法の有効性を検証し、さらにエクソソームを利用して腫瘍選択的に薬剤を送達させる手法を加えて、腹膜播種に対する新規治療を開発することを目指している。 まず、腹膜播種を形成するマウス膵癌細胞株PAN02の同所性移植を繰り返すことによって腹腔内投与後2週間程度でヒトに酷似した播種結節を形成するPAN02Pを樹立した。この実験系にmiR-29b発現AAVを投与することで治療効果を検討した。手術後の予防治療を想定してPAN02PとmiR-29b-AAVを同時投与して腹膜播種の形成状況を評価したところ、AAV-miR-29b投与群では有意な腹膜播種抑制効果が得られた。この実験では腹膜中皮細胞に指向性を持つAAV血清型を選択していることから、作用機序を検討するために腹膜中皮細胞での遺伝子発現を網羅的に解析したところ、細胞外基質や接着に関連した遺伝子群の変化がみられた。また、特定の表面抗原を骨髄由来系幹細胞に発現させ、そこから分泌されるエクソソームの解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにしようとする最初の項目として、miRNA発現アデノ随伴ウイルスベクターによる膵癌腹膜播種の抑制を挙げた。この項目については想定した進捗状況を達成しており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は癌細胞に指向性を持つAAV-miRNA発現AAVベクターの作製や、エクソソームを介した腫瘍選択的薬剤送達法を確立させることを目指して研究を継続していく方針である。
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Causes of Carryover |
研究の進行状況は順調だったが、今後の実験の条件検討を主体に行っていたことから試薬の購入費用が当初予想額より少なくなった。翌年度は実験用マウスの購入数が増えることや、ウイルスベクターの作製、実験試薬の購入、外注での検査などでより多くの費用が必要とされる見込である。
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