2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K06792
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮地 重弘 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (60392354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 剛 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (80452308)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 発声 / 表情 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に中脳水道周囲灰白質(PAG)の発声領域に神経トレーサーを注入した5頭のサルの皮質内の逆行性ラベルの分布を詳細に比較検討した。その結果、より吻側の領域への注入では、より尾側の領域への注入に比べて前帯状皮質のラベルが少ない傾向が見られた。他の前頭葉領域(背外側前頭前野、運動前野)ではそのような違いは認められなかった。この結果を確認するため、アカゲザル1頭のPAG発声領域をマッピングし、吻側(screamに似た発声が誘発される)および尾側(growlに似た発声が誘発される)の領域に神経トレーサーを注入した。PAGのマッピングに際しては、高頻度(400 Hz, 0.5 sec)のパルストレインと低頻度(100 Hz以下, 0.5~1.0 sec)のパルストレインを使い、刺激頻度による発声の違いも確認した。その結果、growl領域の最も吻側の領域では、低頻度の刺激によってcoo callに似た発声が誘発されることが確認できた。 現在この個体の脳を解析中である。 また、同じ個体において、前帯状皮質を電気刺激し、発声の誘発される領域を探索した。刺激には、主に50 Hz, 1.0 secのパルストレインを用いた。サルは実験中、自発運動がほとんど見られなくなる程度に塩酸ケタミンで麻酔した。脳梁膝部より尾側の領域および吻側の領域を刺激したが、発声は誘発されなかった。原因の一つとして、麻酔の影響が強く出ている可能性が考えられる。次の実験では、サルがより覚醒した状態で、より長時間の刺激(50 Hz, 2 sec以上など)を用いてマッピングを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来予定していた大脳皮質の刺激実験に先立って、過去のデータを再検討したところ、中脳水道の電気刺激実験をまず行うべきと判断し、これを行ったため、これに時間がかかった。また、帯状皮質の電気刺激によるマッピングでは、予想された刺激効果が見られなかった。これは、麻酔の影響が強く現れたものと考えられるため、今後の実験は、サルがより覚醒した状態で行うこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、麻酔の影響に十分注意し、当初の計画に沿った実験を進める。研究を効率的に推進するため、RAの雇用を増やし、さまざまな作業を任せる。
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Causes of Carryover |
今年度中に行う予定であった切片標本作製、免疫染色の作業が行えなかったため、必要な試薬および消耗品の購入をしなかったため。これらの実験は次年度に行う。
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