2023 Fiscal Year Research-status Report
上衣細胞機能不全マウスが呈する海馬萎縮の病態発症機構の解明
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23K06824
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
成田 啓之 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (50452131)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 上衣細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は本研究課題に関して、令和5年度に以下の研究成果を得た。 1.Hoatz 変異マウスと野生型マウスの海馬から抽出したRNAサンプルを用いてRNAseq解析を行い、Hoatz 変異が海馬組織にどのような遺伝子発現変動を引き起こしているかを探索した。その結果、過去に初代培養系を用いて行った同様の解析で発現変動を見出していたミクログリア活性化の指標となる幾つかの遺伝子について、in vivoにおいても変動していることを見出した。 2.HOATZタンパク質は運動線毛軸糸においてDLEC1およびENO4と複合体を形成する。この生理学的意義としてENO4がENO1と同様に解糖系酵素として機能し、運動線毛内部でのde novo ATP生合成をおこなっている可能性が考えられた。これを検証するためにENO4のenolase活性を測定したが、活性はないことが分かり、HOATZを含む上記複合体は軸糸の構造体として機能している可能性が推測された。 3.初代培養系を用いた実験系では、目的の細胞集団のみを得ることが難しく、解析結果の解釈があいまいになってしまうことがある。この問題を解決する目的で、任意のプロモーターで蛍光タンパク質および薬剤耐性遺伝子を発現できるレンチウイルスベクターを構築した。 4.本研究の研究対象となっている脳室の上皮系グリア細胞は多線毛上皮であり、この種の上皮は一般に終末分化した細胞と考えられている。しかし初代培養系において、脳室の上皮が分化後に細胞周期に入り増殖する可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関が変更し、転出元で維持していた Hoatz 変異マウス系統を畳み、転出先で新たにコロニー立ち上げの諸手続きをおこなう必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAseqで発現変動が確認された遺伝子について、マウス脳切片を用いた免疫染色やRNA in situ hybridizationをおこなって同様の変化を認めることができるか、もし変動が見られた場合はその空間分布も含めて検討する。 Hoatz変異マウスに見られる脳室拡大および海馬萎縮の精密な解析を目的として、MRI解析を試みる。 初代培養系を用いてHoatz変異がミクログリア活性化を引き起こす機構について検討する。
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