2023 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系を介した敗血症死阻止メカニズムの解明 -Ghrelinの関与ー
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23K06842
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
奥村 利勝 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60281903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高草木 薫 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10206732)
野津 司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30312367)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | グレリン / 中枢神経 / ラット / 敗血症死 / 迷走神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、中枢神経系がどのように胃腸機能調節に関わるかについての基礎研究を、この30年継続研究し、Gastroenterology3編を含む約90編の脳腸相関に関わる英文原著論文を公表して来た。オレキシンが摂食亢進作用を有すと公表された1998年からこの25年間はオレキシンに関する研究を続け、論文を公表してきた。オレキシンは中枢神経系に作用して胃酸分泌や消化管運動を迷走神経依存性に促進させる。また、オレキシンは中枢神経系に作用して迷走神経依存性に腸管透過性亢進(leaky gut)を改善することを見出した。更に、オレキシンは中枢神経系に作用して、一部このleaky gut改善作用を介して、敗血症の病態を改善することを見出した。今回は脳内でオレキシンと機能的に連関するグレリンが脳に作用して敗血症の病態を改善するかを明らかにすることを目的にしている。この1年の研究では、グレリンの脳室内投与がラットの敗血症死モデル(lipopolysacharrideとコルヒチン皮下投与)において、容量依存性に敗血症死を抑制すること、この作用が迷走神経を介すること、更にこの作用には脳内のオレキシンは関与しないことを見出した。加えて、2-deoxy-d-glucoseによる中枢性迷走刺激は敗血症死を阻止するが、この作用はグレリンの受容体antagonistの脳室内投与によりブロックされたので、脳内で確かにグレリンが作用していることが明らかになった。今後は更にこのグレリンの中枢神経を介する敗血症死阻止作用における末梢のメカニズムを解明する。一つはvagal cholinergic anti-inflammatory pathwayを想定しており、このpathwayには脾臓が関与することが想定されているので、摘脾動物での検討を考慮中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験の半分は遂行し、すでに論文として公表した(下記)。 Igarashi S, Nozu T, Ishioh M, Funayama T, Sumi C, Saito T, Toki Y, Hatayama M, Yamamoto M, Shindo M, Tanabe H, Okumura T. Ghrelin prevents lethality in a rat endotoxemic model through central effects on the vagal pathway and adenosine A2B signaling. J Physiol Biochem. 2023;79:625-634.
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Strategy for Future Research Activity |
グレリンの中枢神経系を介した敗血症死改善作用のメカニズムを、脳内メカニズムと末梢メカニズムの双方から解明する。脳内メカニズムにはグレリンの作用部位の同定やドパミンやヒスタミン、アデノシン神経系の関与を明らかにする。末梢メカニズムでは、肝臓、腎臓、心臓、肺などの臓器障害の評価を血液生化学的、病理組織学的に解明する。
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Causes of Carryover |
計画通りに進めておりましたが、動物実験が予想より順調に進み試薬や消耗品の費用が節約できた為、残金が出てしまいました。残金は次年度の物品購入に充当する予定です。
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