2023 Fiscal Year Research-status Report
炎症性筋疾患における病態増悪マクロファージサブセットの同定と新規治療開発
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23K06847
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅澤 夏佳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師(キャリアアップ) (90801530)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 炎症性筋疾患 / 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、炎症性筋疾患(以下、IIM)の動物モデルおよびIIM患者筋組織を用いた骨髄系細胞における機能分子の発現レベルを検証した。IIMマウスモデルの筋組織からタイムコースにて、免疫後Day0、Day7、Day9、Day14において単核球を単離し、CD11bの経時的な発現上昇とともに上昇傾向を示す分子を探索した。複数の分子を検証した結果、Ras活性化に関与するRasGRPファミリーがCD11b発現上昇とともに上昇することを見出した。 加えて、患者筋組織を用いた免疫組織学的染色およびin situ hybridyzationによるRasGRP1およびRasGRP4の発現検討においても、病変筋組織に浸潤するマクロファージの一部にRasGRPファミリーの発現を認めた。すべてのマクロファージに発現を認めなかったことから、マクロファージサブセットを特徴づける分子となりうる可能性が考えられた。 どのようなマクロファージサブセットにこれらの分子が発現誘導されるかを確認するために、in vitroにてマウス骨髄マクロファージにサイトカインを添加して培養し検討した。IFNγを添加して培養した骨髄マクロファージ(炎症促進性のサブセット)にてRasGRPファミリーの発現上昇を認めた。 これらのことから、RasGRPファミリーは特定のマクロファージサブセットに発現する機能分子と考えられ、IIMモデルおよび患者の病態において病勢悪化に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患モデルおよび患者由来組織に共通して、マクロファージを含む骨髄系細胞の一部に発現する分子を検討することができた。初年度の到達目標としては概ね予定通りに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
患者組織からのsingle cell RNAseqは未施行であり、マクロファージサブセットの同定には至っていない。網羅的な遺伝子発現データに基づくクラスタリング解析によって、サブセットを同定できると考えられるため、今後検討していく予定である。 また、増悪に関与すると考えられる分子を標的とした治療法開発の可能性について、今後推進する予定である。
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