2023 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器ウイルス感染症における重症化抑制に関する研究
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23K06901
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 章子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00400325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山谷 睦雄 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60261640)
児玉 栄一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50271151)
高山 真 東北大学, 大学病院, 准教授 (80579954)
西村 秀一 独立行政法人国立病院機構(仙台医療センター臨床研究部), その他部局等, 医長・室長 (50172698)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 呼吸器ウイルス感染 / 抗炎症効果 / 肺線維化 / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1(呼吸器ウイルス感染に対する漢方薬のウイルス増殖抑制効果・抗炎症効果の解明):ヒト鼻腔粘膜上皮(HNE)細胞にインフルエンザウイルス、SARS-CoV-2を感染させ、漢方薬を添加してウイルス増殖抑制効果とサイトカイン産生への効果を検討した。インフルエンザウイルス感染に対して漢方薬は明らかなウイルス増殖抑制効果を示さなかったが、感染早期のサイトカイン産生を抑制する可能性が示唆された。またSARS-CoV-2に関する予備実験を行い、気相培養したHNE細胞において一部の漢方薬に軽度のウイルス増殖抑制効果を認め、サイトカインmRNA発現の抑制効果が示唆された。一方VeroE6/TMPRESS2細胞に感染させたSARS-CoV-2に対しては漢方薬8種のウイルス増殖抑制効果は認めなかった。 研究2(ウイルス感染した上皮細胞における線維芽細胞の増殖促進に関連した因子の検討):ウイルス感染が気道および肺胞の線維化を促進して重症化を惹起する病態と治療法を探るため、ウイルス感染したHNE細胞および2型肺胞上皮(A549)細胞との共培養によるヒト肺線維芽細胞(MRC-5)の増殖促進を検討した。HNE細胞およびA549細胞をコラーゲンゲル上に気相培養してコロナウイルスHCoV-229Eあるいは2009年新型インフルエンザウイルスを感染し、MRC-5細胞と共培養した。共培養によるMRC-5の増殖促進を確認した。また、気相培養したHNE細胞およびA549細胞からウイルスの放出を確認した。次年度でウイルス感染細胞の共培養によるMRC-5細胞の増殖促進に関与する増殖因子を探るため、抗TGF-β抗体および抗FGF抗体の抑制効果を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1、2ともにおおむね実験計画に基づいた結果が得られている。初代培養HNE細胞におけるインフルエンザウイルス感染に対する漢方薬の効果の検討、SARS-CoV-2感染の実験系の構築、ウイルス感染により上皮細胞と共培養した線維芽細胞の増殖が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1:インフルエンザウイルス感染に対する漢方薬の効果に関するデータを取りまとめる。炎症性サイトカインに加え、インターフェロン産生に対する漢方薬の効果を確認する。またHNE細胞におけるコロナウイルスHCoV-229E 感染に対する漢方薬の影響も検討する。これまでの予備実験にてSARS-CoV-2は通常のプレートで培養したHNE細胞には感染せず、気相培養法で感染・増殖することが確認された。今後は気相培養したHNE細胞を用いてSARS-CoV-2感染に対する漢方薬のウイルス増殖抑制効果とサイトカイン産生に及ぼす影響を検討する。 研究2:ウイルス感染細胞の共培養によるMRC-5細胞の増殖促進に関与する増殖因子を探るため、抗TGF-β抗体および抗FGF抗体の抑制効果を検討する。
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Causes of Carryover |
既存の実験物品を使用することを優先したため予定よりも物品購入費用が抑えられた。またウイルス感染後のサイトカイン測定を次年度に変更したため次年度使用額が生じた。
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