2023 Fiscal Year Research-status Report
Multifaceted approach to supress disease progression of muscular dystrophy
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23K06905
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 公一 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (50596236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大門 雅夫 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (80343094)
中西 弘毅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80835140)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / 心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病態進行の完全抑制を目指した多角的集学的アプローチによる筋ジストロフィーの治療開発であり、その目標は患者における心筋症と中心とした疾患病態の進行抑制・改善・治癒であるから、動物実験のみならず臨床的疫学アプローチもかかせないと考えられた。よって本研究においては、筋ジストロフィーモデル動物における治療効果の開発とともに、実臨床における筋ジストロフィー患者を対象とした治療効果の疫学的検討、これらを同時並行して進める方針とした。 まずモデル動物実験においては、筋ジストロフィーのモデルマウスに対する間葉系細胞治療の効果について検証を進め、間葉系細胞をもちいた治療が筋ジストロフィーマウスの骨格筋および心筋の病態を改善させることを明らかにした。これらの成果について、学会発表2件、英文論文発表1件をもって報告した。また、筋ジストロフィーモデルラットに対して新規心不全治療薬であるイバブラジンの投与実験を進め、イバブラジンの投与がモデルラットの心筋症を改善させることを明らかにした。これらの成果について、学会発表2件、英文論文発表1件をもって報告した。 さらに並行して臨床における筋ジストロフィー患者の疫学研究も進め、新規治療薬であるイバブラジンが頻脈かつ低血圧を示すデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者においても治療効果を示すこと、および忍容性があることを明らかにした。これらの成果について、学会発表1件、英文論文発表1件をもって報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のモデル動物実験においては、筋ジストロフィーマウスに対する間葉系細胞治療の効果について検証を進め、細胞治療が骨格筋や心筋の進行を抑制することを明らかにし、その成果について日本筋学会学術集会および日本再生医療学会総会において報告するとともに、英文雑誌Stem Cell Research & Therapyに発表した。また筋ジストロフィーラットに対して新規心不全治療薬であるイバブラジンの投与実験を進め、イバブラジン投与が心筋症を改善させることを明らかにし、その成果についてAsian Pacific Society of Cardiology Congressおよび筋ジストロフィー治療研究会において報告するとともに、英文雑誌Experimental Animalsに発表した。 臨床における筋ジストロフィー患者の疫学研究も進め、新規治療薬であるイバブラジンが頻脈かつ低血圧を示すデュシェンヌ型の患者に対しても忍容性があり治療効果を示すことを明らかにし、その成果について日本神経治療学会学術集会において報告するとともに、英文雑誌International Heart Journalに発表した。 一方で、当初想定していたiPS細胞を用いた治療研究については先方の協力が得られなくなったため、別の間葉系細胞や核酸医薬をもちいた実験に研究計画を変更している。 これらの成果と計画変更状況を総合的に勘案し、おおむね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降、モデル動物実験においては、間葉系細胞の効果検証実験を進めるとともに、心不全の新規治療薬および腎機能に対する改善効果のあるSGLT2阻害薬の投与実験、および、栄養代謝改善効果を示すオメガ3・ケトン体の投与実験も進める。 臨床疫学研究においては、心腎関連と予後の関係、心不全の自然歴、臨床における新規心不全治療薬としてのSGLT2阻害薬の治療効果の検証、および近年承認された新しい筋ジストロフィー核酸医薬ビルトラルセン投与患者における心機能への効果検証を進める。 当初の研究計画にあったiPS細胞をもちいた共同研究ができなくなった課題はあるものの、代替手段として、間葉系細胞をもちいた実験、臨床研究の並行実施、核酸医薬・イバブラジン・ビルトラルセンなど他の新規治療薬の効果を検証することで、本研究の目的である多角的集学的アプローチによる治療開発を達成させる。
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Causes of Carryover |
東京大学および国立精神・神経医療研究センターで実施する動物実験等については、基盤的な維持費や研究費の手当があるため、支出経費に大きな増額はなかった。一方で、計画段階で想定していたiPS細胞関連の共同研究や基礎実験が先方の都合により計画どおり実施できないことになり、そのかわりに間葉系細胞の実験や臨床研究を実施することにしたため、想定より研究費の使用額が少なくなり(臨床研究の方が基礎研究より相対的に経費が少なくすむため)、次年度への繰越額が生じるに至った。繰越金については、来年度以降に実施する動物実験などの経費にあてるほか、臨床研究の遂行にも使用する。
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[Journal Article] Efficacy and tolerability of ivabradine for cardiomyopathy in patients with Duchenne muscular dystrophy2024
Author(s)
Kimura K, Wakisaka A, Morita H, Nakanishi K, Daimon M, Nojima M, Itoh H, Takeda A, Kitao R, Imai T, Ikeda T, Nakajima T, Watanabe C, Furukawa T, Ohno I, Ishida C, Takeda N, Komai K
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Journal Title
Int Heart J
Volume: 65
Pages: 211-217
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Natural history of Becker muscular dystrophy: a multicenter study of 225 patients2023
Author(s)
Nakamura A, Matsumura T, Ogata K, Mori-Yoshimura M, Takeshita E, Kimura K, Kawashima T, Tomo Y, Arahata H, Miyazaki D, Takeshima Y, Takahashi T, Ishigaki K, Kuru S, Wakisaka A, Awano H, Funato M, Sato T, Saito Y, Takada H, Sugie K, Kobayashi M, Ozasa S, Fujii T, Maegaki Y, Oi H, Tachimori H, Komaki H
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Journal Title
Ann Clin Transl Neurol
Volume: 10
Pages: 2360-2372
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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