2023 Fiscal Year Research-status Report
膵のう胞性腫瘍の悪性化における血中タンパク質動態の解明と膵癌リスク予測への応用
Project/Area Number |
23K06920
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
奥野 のぞみ 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 研究員 (30816426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵のう胞 / 膵癌 / IPMN / 早期診断 / 血液バイオマーカー / プロテオミクス / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵のう胞性疾患は、健診などで偶然発見される機会が増えておりまれな疾患ではない。ほとんどの膵のう胞性疾患は無症状であるが、その中には膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のように癌の高リスク病変が存在する。しかし、画像診断によるフォローアップでは医療コストや患者の心理的負担が大きいことから、高精度で簡便な膵癌高リスク群の絞り込みが必要である。本研究では、異なる発癌過程にあるIPMN症例由来の血漿検体を用いて、血中タンパク質と自己抗体の網羅的かつ高感度なプロファイリングを行う。同定されたバイオマーカーについては、アッセイの最適化と独立したサンプルセットでの初期検証を行うとともに、バイオマーカーの組み合わせによるバイオマーカーパネルの構築を行う。さらに、我々が立ち上げた膵のう胞コホートにおいて、膵癌と臨床診断される前に収集された血漿での検証を行い、高精度な膵癌リスク予測法の開発を目指す。 本年度は、腺腫から浸潤癌まで含むIPMN症例から得られた血漿検体を用いてプロテオーム解析を行った。計897個のタンパク質を同定し、そのうちIPMNの病態進展に相関して血漿中で上昇し、かつ膵特異的な発現を示すバイオマーカー候補を複数同定した。現在、独立した血漿サンプルセット(膵癌手術例77例、臨床因子をマッチさせた正常対照231例)を用いて、アッセイの最適化と初期検証を進めている。並行して、700例の膵のう胞追跡コホートにおいて、登録症例の追跡調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、腺腫から浸潤癌まで含むIPMN症例から得られた血漿検体を用いてプロテオーム解析を行った。計897個のタンパク質を同定し、そのうちIPMNの病態進展に相関して血漿中で上昇し、かつ膵特異的な発現を示すバイオマーカー候補を複数同定した。現在、独立した血漿サンプルセット(膵癌手術例77例、臨床因子をマッチさせた正常対照231例)を用いて、アッセイの最適化と初期検証を進めている。並行して、700例の膵のう胞追跡コホートにおいて、登録症例の追跡調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
血漿プロテオーム解析を行った同一の血漿検体を用いて、自己抗体結合抗原のプロテオーム解析を行う。また、膵のう胞追跡コホートにおいて、初期検証で有望であったバイオマーカーの検証を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、プロテオーム解析計画にずれが生じたため、次年度使用額が生じた。解析計画を修正し、次年度使用する予定である。
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