2023 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性グリア病における免疫細胞由来「細胞外DNAトラップ」の生物学的意義の解明
Project/Area Number |
23K06923
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 泉 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40432083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐治 越爾 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00706418) [Withdrawn]
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 視神経脊髄炎 / 多発性硬化症 / 細胞外DNAトラップ / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
視神経脊髄炎 (NMOSD) と多発性硬化症 (MS) は異なる免疫特性を持つ自己免疫性グリア病である. 本研究は「細胞外DNAトラップ」に着目し, その生物学的意義を確立するため, 下記の3つの主要な目的を立てた. 第一に, NMOとMSの脳脊髄病変への「細胞外DNAトラップ」集積とその由来免疫細胞を証明する. 第二に, 「細胞外DNAトラップ」が炎症を惹起し, 血液脳関門 (BBB) の透過性を亢進させ, 神経変性を発動する可能性を探索する. 第三に, 「細胞外DNAトラップ」の解析から, 疾患活動を反映する血液バイオマーカーとしての意義を確立する. 初年度 (2023年度) は、細胞外DNAトラップの集積とその局在, 由来免疫細胞の同定を行った. 具体的には, 脳・脊髄病変を時空間的な4つのステージ (初期病変 [I], 初期活動性病変 [EA], 後期活動性病変 [LA], 非活動性病変 [IA]) に分類した上で, 免疫組織化学法 (IH) を用い, 脳・脊髄剖検標本において, NMOSDのI/EA病変で多数のシトルリン化ヒストン及びmyeloperoxidase陽性の細胞外DNAトラップの集積とその局在を明らかにした. 細胞外DNAトラップは, 好中球マーカー陽性並びに単球マーカー陰性・ミクログリアマーカー陰性であるため, 好中球由来であると推定された. 好中球由来細胞外DNAトラップは, MSでは認めなかった. これらの研究結果を論文として報告した. これらの実績から, 第一の目的に到達したと考えた. 2年度 (2024年度) 以降, 第二及び第三の目的の到達に向けて, 研究を行う計画である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は3年計画の1年目である. 多発性硬化症と視神経脊髄炎の時空間依存的な免疫細胞動態の検討を行った. 3つの主要な目標のうち, 第一の目標である「NMOとMSの脳脊髄病変への細胞外DNAトラップの集積とその由来免疫細胞を証明する」を完了した. このため, おおむね順調に進展していると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年度 (2024年度) 以降, 研究分担者1名が減員となる. 一方, 免疫学的解析を実施できる体制は維持可能であり, 目的達成に支障はないと考えているが, 研究をさらに推進するために, 研究協力者の増員を検討する.
|
Causes of Carryover |
研究実績概要の通り, 初年度は本研究の第一の目標を到達することができた. 一方, 第二及び第三の目標は検討の途上である. このため, 次年度使用額が生じた. 2年度以降, 第二の目標「細胞外DNAトラップが炎症を惹起し, 血液脳関門 (BBB) の透過性を亢進させ, 神経変性を発動する可能性を探索する」, 第三の目標「細胞外DNAトラップの解析から, 疾患活動を反映する血液バイオマーカーとしての意義を確立する」に向けて, 免疫学的解析, 免疫組織学的解析, fluid biomarker及びimaging biomarkerの探索を行う予定である.
|
Research Products
(7 results)
-
[Journal Article] Stage-dependent immunity orchestrates AQP4 antibody-guided NMOSD pathology: a role for netting neutrophils with resident memory T cells in situ2024
Author(s)
Nakajima A, Yanagimura F, Saji E, Shimizu H, Toyoshima Y, Yanagawa K, Arakawa M, Hokari M, Yokoseki A, Wakasugi T, Okamoto K, Takebayashi H, Fujii C, Itoh K, Takei YI, Ohara S, Yamada M, Takahashi H, Nishizawa M, Igarashi H, Kakita A, Onodera O, Kawachi I.
-
Journal Title
Acta Neuropathologica
Volume: 147
Pages: 76
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-